浦島太郎はノンフィクション?――未知や非常識に1歩踏み出すと新しい世界が広がる:ITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)
探検も、人生も、最終的に目指すのは「いかにおもしろくするか」である。それでは「おもしろいとは何か」を考えるとその定義は難しい。探検家にとっての最高におもしろい人生とは。
ライブ配信で開催されているITmedia エグゼクティブ勉強会に、探検家の高橋大輔氏が登場。「探検家が教える、最高におもしろい人生の引き寄せ方」をテーマに、これまでに探検してきた経験に基づいて、「最高におもしろい」とは何か、日々の仕事や人生を、いかにおもしろくすることができるかを学ぶ。
13年間のサラリーマン生活を経験して探検家に
1966年、秋田市生まれの54歳。大学卒業後13年間、広告代理店で働いていました。2003年にフリーになり、以後、探検家として活動しています。今年で18年目になりますが、この数年は新型コロナウイルス禍で活動が停止しています。よく「探検家で、どうやって食っていくの?」と聞かれますが、本を書いたり、講演をしたり、何らかの形で社会還元をしています。書籍は、これまでに10冊書いています。
探検家としてエポックメイキングだった出来事は、2005年にナショナルジオグラフィックの探検隊を率いて、ロビンソン・クルーソーのモデルとなった人物の住居跡を13年かけて発見したことです。当時は無人島ではなく、700人程度の人が住んでいたので、住人に話を聞きながら住居跡を探しました。このときに感じたこと、得たもの、ある意味人生観のようなものをまとめて『ロビンソン・クルーソーを探して(新潮文庫)』を書きました。
最近では、2021年2月に『最高におもしろい人生の引き寄せ方(アスコム)』を出版しています。この本では、どのような経緯で探検家になったのかを書きつづっています。また出版社が帯に書いてくれているように、「メンタルを変えて人生を探検しよう」ということをテーマとしています。最高におもしろいとか、人生を探検しようとか、さまざまな言葉が躍っていますが、最終的には自分のメンタルを変えることが最大の目的です。
「おもしろい」を突き詰めることが探検家になった理由
そもそも「おもしろい」という言葉をどのようにイメージするでしょうか。日常の中でもよく耳にする言葉ですが、それ故につきつめて考えると定義の難しい言葉です。同じものを見ても、おもしろいと感じる人もいれば、おもしろくないと感じる人もいます。主観的なもので、客観的には説明しづらいものです。この「おもしろい」ということを突き詰めていくことが、探検家になった理由の一つです。
「おもしろい」を辞書で調べてみると、漢字で「面白い」と書く通り「目の前が明るくなること」とあります。楽しいとか、愉快とか、自分の心が揺れ動く、明るくなるといった気分がおもしろいということです。それでは、「最高に」とまでいうおもしろいとは、どんなものなのでしょう。いままで漠然と考えていたおもしろいものに対し、メンタルを変えることで、もう少しロジカルにイメージできるのではないかと考えています。
そこで、3層のイメージで考えてみます。まず真ん中に1層目の核になる部分があります。その外側に2層目があり、さらにその外に3層目があります。1層目は自分が知っている世界です。
例えば、もしも新入社員の部下が「会社を3週間休んで南極に行きたいのですが」と言ってきたら、あなたならどうしますか?
(A)新入社員の分際で! 即却下。
(B)一緒に悩むが説得して思いとどまらせる。
(C)即OK!
(A)と(B)は、ある程度想定内で、(C)は想定外です。
私自身の経験は、想定内でも想定外でもなく「規格外」でした。直属の上司には、上司がいて、その上司にはさらに上司がいるのですが、直属の上司がいきなり役員会で社長に直談判し「行ってこい」と言ってもらいました。
理由は、南極に行った社員がいれば、会社のイメージやブランド力が向上できると経営判断をしたからです。広告代理店という業種の特性もあったのでしょうが、まさに規格外でした。この珍事こそが、「おもしろいって何だろう」と考えるきっかけでした。
次に、もし自分の副業がヒットしたら、上司からどのようにリアクションされたいですか?
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