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No!と言わない言わせないコミュニケーション術ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

「顧客への提案が通らない」「上司に企画書を見せても承諾を得られない」そのような悩みを抱えているビジネスマンは少なくないだろう。ビジネスはとにかく交渉の連続。交渉がうまい人と下手な人は何が違うのだろうか。

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 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。



『失敗の9割が新しい経済圏をつくる』

 「顧客への提案が通らない」「上司に企画書を見せても承諾を得られない」

 そのような悩みを抱えているビジネスマンは少なくありません。ビジネスはとにかく交渉の連続。交渉がうまい人はいくらでも成果を上げられますし、逆に交渉下手が成果を上げるのは至難の業です。

 では、交渉がうまい人と下手な人は何が違うのか。それは「事前準備」です。交渉がうまい人と聞くと、多くの人は「瞬時にものごとを判断して話せる頭の回転が速い人」をイメージするかもしれませんが、実はそれも事前準備があってのこと。

 あらゆる状況を想定し準備をしているからこそ、どんな質問をされても即座に返せるのです。準備を怠る人は想定外の質問に慌てふためき、中途半端な返答しかできないため、結果的に交渉もうまくいきません。

提案は一発勝負しない。調整を繰り返してYesに近づける

 交渉前の準備とは、具体的に何をすればいいのか。まずは相手が何を求めているのかを知ること。相手が求めていることも分からずに、一発勝負で提案するのはばくちと同じ。そして、一度「No」をもらうと、その後多少の改善をしても「この提案は一度Noにしたからな」という心理が働き、Yesをもらうのが難しくなります。

 そうはならないように、微調整を繰り返しながら完成形に近づけていきます。提案しても、あまりピンときていないようなら「もう少し詰めてみます」と引っ込め、修正して再度提案する。それを繰り返しながら、徐々に相手が求めるものに近づけていきます。

 また、本提案の前に仮の提案をするのも有効的。例えば「こんな方向で考えているんですが、一度見てもらえませんか」と仮案を見せてフィードバックをもらいます。「ここは厳しくチェックされるから気を付けてね」と意見をもらい、それを参考に提案内容を調整していくのです。

 そうすることで「〇〇さんの意見を反映して考えました」と言えるので、相手も納得感が違います。一発勝負で提案するよりも、ものごとをスムーズに進められるでしょう。

相手の懸念点を想定し、リカバリープランで信頼を得る

 もう1つ、交渉前の準備で大事なのが「相手の懸念点を見つけておく」ということです。どんな提案にも必ず見落としている(もしくは自身も目をつぶっている)懸念点があり、提案される側の一番気になるところです。そのため必ず深く質問されますし、その返答次第で印象は大きく変わります。

 相手が何を気にし、どんな質問をするのか、事前に想定しながらリカバリープランを練りましょう。どんな質問が来ても「そのリスクに関しては、このような対策をとっています」と自信を持って返せるための準備をしておくのです。

 また、懸念点の中でも特にリスクについては、質問されなくても相手に伝えることが重要と考えています。多くの人が、提案を通すためにリスクを隠そうとしますが、それは後に自分の首を締めることになります。何かトラブルがあった時に、事前に「この提案にはこのようなリスクがあり、その場合はこのようにリカバリーします」と伝えているかどうかで印象が大きく違うからです。

 もしもリスクを伝えていなかった場合「なぜ先にリスクを伝えていなかったんだ」と信頼を損なわれることにも。逆に事前にリスクを伝えていれば、関係性を崩す可能性を下げれますし「一緒に乗り越えましょう」と相手が味方になってくれることも大いにあるのです。

代替案を用意して、心に余裕をもつ

 「懸念点を事前に想定する」と、言うのは簡単ですが、実際に行うのは難しいもの。提案をする前は、準備が忙しくて冷静になってネガティブ要素を考える余裕がない場合もあります。「この提案が失敗したらどうしよう」と思えば思うほど、視野が狭くなりリスクを見落としがちです。

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