Z世代を科学する:RB Profilerを用いたZ世代のビジュアライゼーション(1/2 ページ)
デジタルの急速な進展、100年に一度ともいえるような出来事を子どものころに経験した現在の10代・20代は、それ以上の世代と大きな価値観の“断絶”がある。それゆえ、彼ら「Z世代」を解像度高く理解できている年長者は少ないように見受けられる。
筆者はこれまで数万人規模の消費者調査に基づく、アパレル・ジュエリーなどを中心とした消費財領域におけるコンサルティングに従事してきた。また、2021年にリリースした調査報告書『新型コロナは日本の生活者に何をもたらしたのか』では、新型コロナウイルスを経て様変わりした生活者の価値観と、消費行動・働き方への影響について調査した。
どのような業界であれ、お客さまにモノやコトを売る以上、現在の消費者を精緻に理解することは欠かせない。しかし、年代別に見ると、デジタルの急速な進展、東日本大震災、新型コロナウイルスの流行など、100年に一度ともいえるような出来事を子どものころに経験した現在の10代・20代は、それ以上の世代と大きな価値観の“断絶”がある。それゆえ、彼ら「Z世代」を解像度高く理解できている年長者は少ないように見受けられる。
結果、テレビや雑誌などのメディアは、現在の若者に対してこぞって「苦労なく育ってきた」「熱量や欲求に欠ける」といったイメージを流布しているが、一人のZ世代でもある筆者としては違和感を覚えざるを得ない。
本稿では、このようなZ世代について、価値観の可視化のもとで論じてみたい。
価値観や消費行動が個々人で大きく異なる世代
Z世代とは、1996年〜2010年生まれで、2022年現在ではおよそ12歳〜26歳に該当する若者の総称である。Z世代と聞いて思い浮かべる典型的なイメージとして、「SNSに一日何時間も費やす」や「Netflixなど月額制のサブスクリプションサービスを多用する」などが挙げられるのではないか。
総務省による調査『情報通信白書(2020年)』によると、10代・20代のInstagramの利用率はそれぞれ69%・68%を誇り、全年代での利用率42%と比べても突出して高い。Instagramにとどまらず、TikTokは10代、Twitterは20代に支持されていることを鑑みても、SNSを積極的に利用する年代であるといえる。
しかしながら、このデータの裏を返せば、いまだに10代・20代の3割以上はInstagramを利用しておらず、利用する7割弱の中でも、友人や有名人の投稿を見ているだけの人も多数存在するなど、利用度合いはさまざまである。筆者の周りでも、SNSに一切興味がなかったり、SNSに疲れて使うのを辞めたりした友人は多く、筆者自身も普段はあまりSNSを利用しない。
また、ネット環境が幼少期から当たり前のように存在する年代であるため、皆が同じテレビ番組を見て、同じブームに乗っかっていた時代とは対照的に、自分の興味のあるコンテンツを取捨選択するのも当然となっている。SNSの利用にとどまらず、価値観や消費行動が個々人によって大きく異なるというのが、ミレニアル世代(1980年〜1995年生まれでZ世代の上の世代)以上との決定的な違いではないか。
Z世代のセグメンテーション
では、Z世代はどのように多様な層によって成り立っているか?
ローランド・ベルガーでは約4000人のZ世代を対象に価値観に関するアンケート調査(2022年2月)を行い、統計的な手法のもと、Z世代のセグメンテーションを実施した。結果、Z世代は大きく6つのセグメントに分けられることが判明した。
なお、弊社では「RB Profiler」と呼ぶ独自のビジュアライゼーション・ツールを開発している。消費者の価値観や、企業・ブランドに対して消費者が思い浮かべるイメージを可視化することで、競合他社や消費者を踏まえたブランドマネジメントをより分かりやすく直感的に行えるようになっている。
本稿においてもRB Profilerを用いて、Z世代の価値観を可視化した。以下、6つのセグメントについて解説していく。
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