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できるリーダーはやっている! 部下のやる気を高める「対話」とは?ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

リモートワークになり部下との対話が減ったなど、一見すると逆風にも見えるこの環境は、大きなチャンスでもある。「対話」のセオリーを知ると、短時間で「部下との深い対話」ができるようになり、やる気を高めることができる。

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 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。



『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編] メンバーが自ら動き出す「30の質問」』(Amazon)

 今、私は、年間200回程度のオンライン研修とリアル研修に登壇しています。すると、受講者から、こんな声を聞きます。「リモートワークになり部下との対話が減った」「自分自身が忙しく、会話が不十分になっている」「最近、部下が何を考えているのが見えにくい」と。まさに、環境の変化、そして日常の忙しさに翻弄されている状況がうかがえます。

 しかし、一見すると逆風にも見えるこの環境は、大きなチャンスでもあるのです。「対話」のセオリーを知ると、むしろ短時間で「部下との深い対話」ができるようになり、その結果として部下のやる気を高めることができるからです。つまり、この逆風の機会だからこそ、あなたのマネジメントスタイルをバージョンアップさせるチャンスともいえるわけです。

 難しいと思うかもしれませんが、それほど難しくはありません。私の研修先でも、実践しています。今回は、一部ではありますが、拙著『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』からメソッドを紹介しましょう。この本は、前作『できるリーダーは、「これ」しかやらない』の続編として、より対話の手法に焦点を絞り、具体的なセリフ例を紹介する指南書としてリリースされました。未曽有の変化をチャンスにするヒントになればうれしいです。

“イマドキ”の部下は、何を上司に期待しているのか

 今こそ、われわれが知るべき情報があります。ズバリ、“今の部下は、何を上司に期待しているのか”、です。リクルートマネジメントソリューションズ社の「2021年新入社員意識調査」(2380 名)の分析によると、この10年で上司に期待することが、大きく変わっている要素があります。

【上司に期待すること】

1位、「相手の意見や考え方に耳を傾けること(51.3%)」[+5.3pt]

2位、「一人一人に対して丁寧に指導すること(47.7%)」[+13.7pt]

※[  ]内は、この10年での上昇率

 キーワードは、「耳を傾ける」「丁寧に」の2つ。リーダーとしてあるべき姿を考える際、もはや、指示や確認、業務の指導をするだけではなく、時間をとってでも「一人一人に耳を傾け、丁寧に対話する」ことは外せないということは留意しておくべきです

 調査は、新人を対象としたものですが、価値観、生活スタイルが多様化する今、あらゆる年代の部下に対し、この要素は外せなくなってきています。

 そこで、大切になるのが「コミュニケーション」の取り方です。ただ、会話をすればよい、というわけではありません。会話はしているが、対話はしていない職場は多いものです。「会話」は、言葉のやりとり。「対話」は、心のやりとり、と考えてください。

 次のケースを見るとどうでしょう。

上司 「どう、今週は忙しい?」

部下 「はい。期末なので忙しいです。もっと、早く帰れるといいのですが、今は仕方ないです」

上司 「期末だからね。忙しくなると分かった段階でスケジュールを前倒しして、やればいいんじゃない? まあ、今だけなので、頑張っていこう」

 これは、ただの会話。“心”を聞いていませんので、「対話」ではありません。「対話」は、心を聞きます。こんな感じ。

上司 「どう、今週は忙しい?」

部下 「はい。期末なので忙しいです。もっと、早く帰れるといいのですが、今は仕方ないです」

上司 「そうか……。教えてもらってもいい? 今は、どんなことで忙しいの?」(中略)

部下 「(何かしらの理由を回答)」

上司 「そうか……。それは大変だね。せっかくなので、対策を考えない?

部下 「そうですね」

上司 「では、どうするのがいいのかな?」

部下 「う〜ん……、そうですね…‥」

上司 「(アドバイスをせず、待つ)」

部下 「もう少し余裕を持った計画を組めば解消できるかも……」

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