色気は、50歳から:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
リーダーに求められるのは、色気。異性からだけでなく、同性からも、色気のあるリーダーが、人気がある。
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ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバーへ。
愛される力より、愛する力から、色気が生まれる。
リーダーに求められるのは、色気です。色気のあるリーダーと、色気のないリーダーに分かれます。人がついてくるのは、色気です。異性からだけでなく、同性からも、色気のあるリーダーが、人気があります。
「色気をつけるにはどうしたらいいか」というのは、誰でも考えることです。色気をつけることで愛されたいと思っていると、下品なイヤらしさになります。受け身の他者承認だからです。
品のある人は、愛されるよりも、自分の色気で人をハッピーにしたり、愛する力をつけたりしたいと考えます。
「愛されたい」というのは、自分のための色気です。「誰かをハッピーにするための色気をつけたい」と思うと、イヤらしくない爽やかな色気が生まれます。
50代になると、色気のある人とない人にくっきり分かれます。社会人になってから30年たつと、もう一度生まれ変わる時期が来ます。会社員なら、次の会社に転職したりします。それが50代です。
今、メンタツの世代が50代に差しかかっています。第2の面接を受けるのが50代です。
20代の面接では、子どもから社会人になれているかどうかを見られます。結局、面接で通る人は社会人になれている人です。はたち過ぎで大学を卒業するころになっても、社会人になっている人と、まだ子どもの気分の人に分かれます。これを見きわめるのが20代の面接でした。
50代の面接では、誰もが社会人になっています。今度は、魅力のある人間になっているかどうかを見られます。
例えば、「編集者として仕事はできても、人間としてつきあいたくない。一緒にごはんを食べたくない」と言われる人がいます。この人は、社会人としては合格でも、人間としては不合格です。
50代は、人間としての面接を受ける段階に来ているのです。これは、ただ第2の就職ができるかどうかではなく、本人自身が豊かで楽しい人生を送れるかどうかの分かれ目です。転職するかどうかにかかわらず、50代は、「自分は社会人としてはいいけど、人間としてどうなんだ」ということを考える時期です。
人間としての魅力があることを「色気」と言います。「水っぽいよね」というのは、職業的なところへ走りすぎています。社会人を前面に出しすぎると、人間としての魅力に欠けてしまいます。
モノより、人に興味を持つ。
あるワークショップで、「青い空というタイトルで絵を描いてください」という課題を出しました。
青い空を描くのは難しいです。空だけ描こうとして青く塗っても、海なのか水なのか空なのか分かりにくいです。色もそれほど使いません。
この時、たいていの人は、まず雲を描きます。それで終わりの人が多いのです。もう少し進むと、水平線・地平線・家・山を描き始めます。ここで初めて、その人の視野の広がりが分かってきます。
社会人を30年も続けていると、いつの間にか視野がどんどん狭くなります。仕事がうまくいくように、あらゆることを効率よくこなそうとして、視野を狭める方向にいきます。人間が満員電車に耐えられるのは、視野を狭めてまわりの人を見ていないからです。
「結婚したいけど相手が見つからない」と言う人は、恋愛に興味がないのです。恋愛を飛ばして結婚という制度の方に意識が向いています。「恋愛をしたい」と言う人も、まず好きな人ができないと恋愛はできません。
「青い空」の絵でせっかく地平線・水平線を描いても、その後、人間を描く人と描かない人に大きく分かれます。中には、「青い空と言ったでしょう。人間を描くなら最初から言ってくださいよ」と言う人がいます。
面白いことに、そんなことを言わなくても、絵の中に人間を描く人がいます。描く人数は、1人と2人以上で分かれます。
1人だけ描く場合は、気持ちのいい海岸に自分1人がいるという絵です。「人に興味がある」とは、自分以外の誰かに興味があるということです。複数の人間を描けるかどうかが、人に興味があるかどうかの分かれ目です。
ほとんどの人は、空を大きく、人間を小さく描きます。それは人に関する興味が小さいのです。
何かの建物の前で写真を撮ってもらう時、たいていの人は建物の方に寄っていきます。そこで「もっと手前に来てください」と言えるカメラマンは人間に興味がある人です。カメラに寄ってもらうことで、人間を大きく撮れるのです。絵も同じです。人間をたくさん描けるのは、愛し力のある人です。
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