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「トランスフォーマー」の玩具技術も月面に アジア最大級の宇宙ビジネスイベント開幕

ロボット玩具の技術が月面探査で活躍も−。アジア最大級の宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2023」が27日、東京・日本橋で開幕した。

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産経新聞

 ロボット玩具の技術が月面探査で活躍も−。アジア最大級の宇宙ビジネスイベント「NIHONBASHI SPACE WEEK 2023」が27日、東京・日本橋で開幕した。国内外から非宇宙企業を含む91の企業や団体が参加。最前線の宇宙関連技術やビジネスの展示に加え、業界参入を狙う企業、転職希望者向けの説明会、トークイベントなど多岐にわたるコンテンツが展開される。12月1日まで。

 今年で3回目。主催は宇宙関連産業の活性化を目指す一般社団法人「クロスユー」で、同法人を設立するなど日本橋で同産業の拠点化を進める三井不動産が共催。

月面ロボ玩具化へ

 オープニングセレモニーで、クロスユーの中須賀真一理事長(東京大大学院教授)は、宇宙関連の研究やビジネスを展開することは、他産業の発展にもつながることを強調。イベントが「非宇宙系企業と宇宙分野との連携を考えるきっかけになれば」と訴えた。

 展示イベントには54の企業・団体が出展。宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、日本初の月面着陸を目指す小型実証機「スリム(SLIM)」に関連し、着陸時に搭載されたカメラで接地部分を撮影して、問題なく着陸できたか確認するのを手助けしてくれる小型ロボットを紹介。着陸時にスリムから分離して球体から走行可能な形状に変形し、左右の車輪が回転して月面を動き回る。

 玩具メーカー「タカラトミー」などが開発に参加し、人気の変形ロボット玩具「トランスフォーマー」や「ゾイド」の開発者(当時)がデザインを担当。かわいらしい丸っこくて小さな機体は、確かにロボットが変形するかのように見える。今後、同社による玩具化が計画されているという。


変形型月面ロボット(愛称・SORAーQ=ソラキュー)を操作するJAXAの担当者。実際はAIにより自動で動き回って探査機が無事に着陸したかを撮影する=27日、東京都中央区(福田涼太郎撮影)

宇宙リスク保険も

 レーダー衛星の一種「SAR衛星」の開発企業は、衛星から得られる地表データを利用した各種サービスを提案。夜間や悪天候でも高精度で地表の形状が確認でき、どの程度、自然災害で地盤が沈下したか、がれきや土砂が堆積しているかなども分かり、対策を練る際に役立つとしている。自治体だけでなく、国際団体など海外でも活用されているという。

 そのほか、損保大手によるロケットや人工衛星の打ち上げに伴う保険商品も展示され、スペースデブリ(宇宙ごみ)に衝突して損壊するリスクなどにも対応していることが紹介された。

 宇宙分野は急速な市場拡大が見込まれ、世界中で開発競争が激化。政府は6月に閣議決定した宇宙基本計画で、宇宙関連の国内市場規模を現在の4兆円から、2030年代の早い時期に8兆円へと倍増させる目標を掲げた。米証券大手モルガンスタンレーの報告書によると、世界の宇宙産業市場は、2017年の37兆円から2040年までに100兆円規模になると予測されている。

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