検索
ニュース

ハム大手4社が物流2024年問題で共同宣言 スーパー陳列など付帯業務削減

業界特有の課題となっている小売店での棚入れ、値付け、商品陳列といった付帯業務の削減や、リードタイムの見直しなどを共同で進める。

PC用表示
Share
Tweet
LINE
Hatena
産経新聞

 トラック運転手の人手不足で物流の停滞が懸念される「2024年問題」を控え、食肉加工品の業界団体「日本ハム・ソーセージ工業協同組合」に加盟する日本ハムや伊藤ハム米久ホールディングスなど大手4社は1日、問題への取り組みに向けた共同宣言を発表した。業界特有の課題となっている小売店での棚入れ、値付け、商品陳列といった付帯業務の削減や、リードタイムの見直しなどを共同で進める。

 働き方改革関連法により、令和6年4月からトラック運転手の時間外労働が年間960時間に規制され、6年度に14%、12年度には34%の輸送力が不足する可能性が指摘されている。

 4社の社長らが東京都内で会見し、日本ハムの井川伸久社長が「自社改善には限界があり、理解と協力を求めたい」、伊藤ハムの伊藤功一社長が「流通や物流業界とも協議しないと持続可能なサプライチェーン(供給網)が構築できない」とそれぞれ述べ、企業や業界の垣根を越えた対応が欠かせないことを強調した。

 食肉加工品の業界では、メーカーが自社配送していた時代の名残からスーパーなどでの付帯業務が商習慣として常態化し、トラック運転手の負担となっている。国土交通省の令和3年調査では、加工食品や飲料・酒など「軽工業品」の1運行当たりの拘束時間は11時間6分で、9つある輸送品類別で3番目に長い。付帯業務や荷降ろしなど荷役の多さが拘束時間を延ばす要因となっており、会見では「9時間のうち4時間程度が付帯業務となっているケースもある」との現状が紹介された。

 これを受け共同宣言には、付帯業務をなくすことに加え、発注から翌日に配送する「納品リードタイム1日」の見直し、共同配送などの取り組みが盛り込まれた。6年4月をめどに着手できるものから対応を急ぐ。ただ、同じく人手不足の課題を抱える流通業界などとの調整も必要で、「実現には数年かかるものもある」との見通しも示された。(田村慶子)

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

ページトップに戻る