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関東から九州に翌日配送 全日空が航空便効率利用でトラック不足を解決、費用も同等以下に

インターネット通販需要の高まりなどを受け、成長が見込まれる航空貨物を新たな事業の柱に育成し、収益の多様化を図る。

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産経新聞

 ANAホールディングス(HD)と日本航空が貨物事業の拡大に乗り出している。4月からトラック運転手の時間外労働に上限規制が適用され、運転手不足が懸念される「2024年問題」への一手とするためだ。インターネット通販需要の高まりなどを受け、成長が見込まれる航空貨物を新たな事業の柱に育成し、収益の多様化を図る。


日本航空(手前)と全日本空輸の機体

4月に羽田−岡山線で

 全日本空輸(ANA)は27日、ネット通販の自動出荷システムを手がけるロジレスと連携し、受注や発送、航空便の空きスペースなどをシステムで一括管理して物流を効率化する実証実験を始めた。4月に羽田−岡山線でサービスを開始し、今秋以降に対象を拡大していく方針だ。

 背景には2024年問題による物流停滞への対応がある。例えば、ネット通販で注文された商品をトラックで関東から荷物を運ぶ際、岡山以西には翌日の配送できなくなるとされている。

 だが、ANAの新たな取り組みで、航空便の空きスペースに効率的に貨物を積載すれば「岡山以西だけでなく、これまで難しかった九州全域への翌日配送もできるようになる」とANAカーゴの末原聖常務は説明する。データ利用による効率化で費用もトラック輸送と同等またはそれ以下に抑えることができるという。

日航は貨物専用を3機

 2024年問題への対応をめぐっては、日本航空も4月からヤマトホールディングス(HD)の貨物専用機の運航を始める。3機の専用機を導入し成田−北九州線など4路線で運航し、ひっ迫する長距離輸送の受け皿としたい考え。

 航空大手は貨物事業を再成長に向けた注力分野と位置付けている。主力の旅客事業ではテレワークの普及などでビジネス需要の戻りが遅く、今後の回復にも不透明感が漂う。こうした中、ネット通販の拡大や半導体などのサプライチェーン(供給網)の多様化で、航空貨物の重要性は一段と高まる見通しだ。

 ANAHDは4月に貨物専用機15機を保有する日本貨物航空(NCA)を日本郵船から買収する予定。一方、日航は今月19日に国際運送大手のDHLグループと連携し、13年ぶりに貨物専用機の運航を再開させるなど、ともに国際航空貨物の強化に動いている。もっとも、国際貨物は国際情勢などによる浮き沈みが激しく、リスクをいかにコントロールするかが今後の焦点になっている。(万福博之)

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