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廃止バス路線を自動運転のセレナで補完 日産の有償公共交通網構想、複数都市で展開へ

自治体や交通事業者などと連携し、公共交通網を補完する有償の乗り合いバス型の移動サービスを複数の地方都市で展開する方針。

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産経新聞

 日産自動車は28日、自動運転サービスの令和9年度の事業化を目指すと発表した。自治体や交通事業者などと連携し、公共交通網を補完する有償の乗り合いバス型の移動サービスを複数の地方都市で展開する方針。当初は安全管理者が乗務するが、特定の条件下で運転者が不要な「レベル4」の完全自動運転サービスの将来の提供も視野に検討を進める。


日産自動車がこれまでの自動運転技術の実証実験に使用した車両と研究開発を担当する土井三浩常務執行役員

トヨタはお台場で実証

 自動運転については、ホンダが米ゼネラル・モーターズ(GM)と共同で8年に自動運転タクシーのサービス開始を計画しているほか、トヨタ自動車が出資するモネ・テクノロジーズ(東京都千代田)も7月から東京・お台場で自動運転車両を使った送迎サービスの実証実験を実施する予定で、実用化の動きが本格化してきた。

 日産は、事業化に先駆けて、6年度から自動運転技術を導入したミニバン「セレナ」を最大約20台使って横浜市内で、移動サービスの実証実験を始める。

 車両は、搭載された各種センサーやカメラで車周辺の環境を全方位で常時把握し、人工知能(AI)と独自の車載ソフトなどによる自己診断で自動走行する。道路工事のため反対車線を走行するなど通常ルールと異なる場面では、専用の遠隔監視システムでスタッフが運行を支援する。利用者はスマートフォンのアプリなどで予約して乗車する。

バスの廃線8667キロ

 まずは運転操作の一部をシステムが担う自動運転の「レベル2」での運行を想定。知見を蓄積しながら、事業化に向けて実験を横浜以外の市町村に拡大するとともに、自動運転の技術をレベル4を目指して段階的に進化させる計画だ。

 日産の土井三浩常務執行役員は横浜市で開いた説明会で、利用者や運転手不足で4年1月から5年8月の期間にバスの廃線が8667キロにも及んでいると指摘し、自動運転の事業化で「公共交通として気軽に移動できるサービスをつくりたい」と話した。(池田昇)

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