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事業を成功させる人に“共通する力”とは(1/2 ページ)

事業の立上げ、継続、拡大、撤退判断などの重要局面で成否に係る一つの重要ファクターは、タイミングだといえる。

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失敗の原因、その一つはタイミング

 事業の立上げ・継続・拡大・撤退判断などの重要局面で成否に係る一つの重要ファクターは、タイミングだといえる。タイミングにはさまざまな切り口があるが、その一つは外部環境と内部環境を踏まえたタイミングだ。

 「VUCA」と呼ばれる不確実かつ予測不可能な現代において、世の中の潮流から未来を洞察し、どこで打って出るかのタイミングを適切に把握する必要がある。

 まずは外部環境についてだが、国内外におけるマクロとミクロの視点が必要であり、大局をつかむ際はPEST分析が有用であろう。自社を取り巻く外部環境を頭文字のPolitics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の要素で分析する手法である。

 次に重要なファクターは内部環境である。新規事業の戦略がある前提で、事業上の重要局面での各判断において大事な指標となるヒト・モノ・カネ・情報・時間といった経営資源の状態を的確に把握しておく必要がある。

 外部環境つまり世の中の動向やビジネスチャンスは各社平等に享受できるが、内部環境は各社各様である。潮流を常に注視し、自社の戦略上の流れや位置づけ、また何で新規市場を創出、あるいは既存市場に参入するのか、現状有するリソースで、何をどのよう使えるかが重要となる。

 故に、事業の各タイミングを見極める際の外部・内部の環境の関係は、世の動向を知り己を知るという観点では表裏一体であり、状況を常に注視し、機動的にどのタイミングで何をするかに尽きる。

 私自身、新規事業創出コンサルティングを専門としている中で、多岐に渡る事業やサービスを手掛けており、成否に係るさまざまな局面で上記を踏まえた判断をしてきた。コンサルティングと自ら事業を立ち上げ推進しているからこそ言えることは、外部環境と内部環境を適切に踏まえた上で、事業における各アクションの見極めが肝要であるということだ。

 拡大時は、外部環境と内部環境の条件を満たして既定の成長路線にのせるという単純なロジックだが、難しいのは撤退のタイミングだ。戦略なき延命は回避すべきだが、不確実性と複雑性が高い現代故に、何かをきっかけに“風向き”が一気に変わることがある。内部環境上、許容されるならば、コスト極小化の上での“戦略的継続”も有用な選択肢となる。

 不確実性の高い複雑社会での“成功のロジック”は存在しないが、外部と内部の環境を踏まえ適切なタイミングでの判断を見誤らなければ、“失敗は限りなくしない”とも言えよう。

タイミングを見極めて社会の流れを把握する能力を養う〜新規事業創出コンサルはどんなスキルがあるのか〜

 “優れた新規事業創出コンサルタント”が有する社会の流れを適切に把握する力は、間違いなく“構造化”だ。事象を構造的に読み解くことで、物事の大半のメカニズムと本質をつかむことができ、限りなく的確な社会の流れが見えるようになる。一朝一夕にはいかないが、日常的に意識化することで当該能力の向上が可能だ。

 まず、日常的な意識が容易な例は、欧米と日本市場構造で、日本時間の夕刻から深夜までの欧米での動向が、早朝には日本の動きに反映される構造となっている。外交や法令、政策などの政治的動向、為替や株価、重要経済指標などの経済的動向、トレンドや環境などの社会的動向、技術革新や特許などの技術的動向は、日本市場や企業戦略、活動にも多大な影響を与える。当該構造を日頃から意識し、自社への影響を日常的に考える癖をつけることも肝要だ。また四半期毎の日銀短観も社会の流れを把握するうえで有用なインプットの一つだ。

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