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自動物流道路導入に向け岸田首相がルート選定指示へ 22日のデジタル行財政会議

増大する物流需要やトラック運転手の不足に伴う「2024年問題」などの輸送危機に対応する「交通DX(デジタルトランスフォーメーション)」の一環で、今年の経済財政運営の指針「骨太の方針」にも反映する。

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産経新聞

 岸田文雄首相は22日のデジタル行財政改革会議で、荷物を高速道路で自動運搬する「自動物流道路」の導入に向け、関係閣僚に夏までに想定ルートの選定を進めるよう指示を出す方針を固めた。21日、複数の政府関係者が明らかにした。増大する物流需要やトラック運転手の不足に伴う「2024年問題」などの輸送危機に対応する「交通DX(デジタルトランスフォーメーション)」の一環で、今年の経済財政運営の指針「骨太の方針」にも反映する。

 2024年問題では、対策が講じられない場合、令和12年(2030)年度に34%の輸送力が不足し、物流網が崩壊する恐れが指摘されている。

 首相が導入を進める自動物流道路は、今後想定される輸送力不足を補うための抜本対策だ。高速道路の路肩や中央分離帯、地下などのスペースを活用し、自動輸送カートが荷物を運搬できるように整備する。カートの輸送先には物流拠点を設け、最終的にトラックが家庭や企業などに荷物を届ける仕組みだ。

 トラックの二酸化炭素(CO2)の排出量を削減し、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)への効果が期待できるほか、主要な高速道路の渋滞緩和にもつながるという。

 自動物流道路は、欧州ではすでに導入に向けた検討が進められており、スイスは、地下に24時間体制で自動輸送カートが走るための貨物専用トンネルを建設し、主要都市間を結ぶ総延長約500キロのシステムが構想されている。2031年までにチューリヒ−ヘルキンゲンの約70キロの運用を開始し、2045年までに全線が開通する。首相はこうした海外での先進事例を参考にしながら関係閣僚に具体案を取りまとめてもらう意向だ。

 首相は22日のデジタル行財政改革会議で、他にもドローン物流や自動運転の本格導入を加速するため、着地拠点や支援装置などのインフラ整備の年度内着手も指示する。また、令和7年度に都市部で高速道路の料金支払いの自動料金収受システム(ETC)専用化がスタートすることを踏まえ、デジタル技術を駆使し渋滞緩和に向けた変動料金制の導入などの具体的な検討も表明する。

■2024年問題

働き方改革関連法に基づき、令和6年4月からトラック運転手の時間外労働が年960時間の上限規制が適用されることで生じる問題。何も対策が講じられない場合、今年度に14%、12年度に34%の輸送力不足に陥ることが指摘されており、物流の停滞が懸念されている。岸田文雄政権は昨年3月、物流の環境整備に向けた関係閣僚会議を設置し、6月にドローン物流、自動運転の活用などの具体策を取りまとめた政策パッケージを決定した。

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