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JR東の金融サービス「JREバンク」が9日から開始 鉄道特典でスイカ経済圏拡大狙う

ネット上に専用口座を開設すれば預金や住宅ローンを使えるほか、利用状況に応じて鉄道や駅ビルなどの割引特典が利用できるという鉄道会社ならではのサービス内容が特徴だ。

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産経新聞

 JR東日本の新しいデジタル金融サービス「JREバンク」が9日からスタートする。ネット上に専用口座を開設すれば預金や住宅ローンを使えるほか、利用状況に応じて鉄道や駅ビルなどの割引特典が利用できるという鉄道会社ならではのサービス内容が特徴だ。累計発行数1億枚超を誇る同社の交通系ICカード「Suica(スイカ)」を強みにポイント経済圏を広げ、少子高齢化により収入減が避けられない旅客輸送に代わる新たな収益源を育てる狙いだ。


JREバンクで利用できるサービスのイメージ(JR東日本提供)

当初の目標は100万口座

 具体的な特典では、JREバンクに50万円以上預金するなどの条件を満たせば、JR東の片道運賃を最大で年10回まで4割引きとなる優待券に加え、スイカ利用者には普通列車のSuicaグリーン券を無料で年4枚まで提供。JR東の新幹線停車駅47駅からランダムに選ばれた4駅に行ける「どこかにビューーン!」の割引クーポンも年12枚まで配布する。

 また、JR東グループが手がけるホテルの宿泊料金を最大20%引きとする特典や、商業施設のルミネで一定額以上を決済した18〜24歳向けには、JR東グループの共通ポイント「JREポイント」約1000ポイントを還元する。

 JR東の最大の強みは、首都圏を通る巨大な沿線ユーザーを抱え、主要駅敷地に多くの商業施設を保有しているためポイント経済圏を作りやすいことだ。JREバンクの開設により「(顧客の)資産状況などこれまで把握できなかった情報をマーケティングや新たなサービスに生かせる」(JR東の喜勢陽一社長)といい、同社は100万口座の開設を当初の目標に据える。

鉄道×銀行の動き活発化

 ただ、銀行免許の取得には金融庁の審査が必要で、異業種の金融業参入はハードルが高い。そのため、今回のサービス提供に当たっては銀行が事業会社に金融システムを提供する「BaaS(バース)」の手法を利用。銀行機能のインフラは楽天銀行が提供し、JR東傘下のビューカードが銀行代理業者としてサービスを担う。JR東と楽天グループは、楽天のスマホ決済アプリ「楽天ペイ」とスイカと連携するなどこれまでも協業している。

 楽天銀行としては、優良顧客を多く抱えるJR東との提携で新たな顧客データやサービスのノウハウなども獲得でき、提携先の企業からの手数料収入も見込めるなどメリットもある。

 鉄道関連では、京王電鉄が昨年9月から住信SBIネット銀行と提携した金融サービス「京王NEOBANK」を展開するなど沿線顧客の経済圏を囲い込む動きが活発化している。

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