食品機械、989社の展示会 最新技術の装置で「5〜6人分の作業を省人化」も
食材を自動で計量して盛り付ける装置や、チャーハンを自動調理するロボットなど最新技術を搭載した機械が並ぶ。
食品・飲食業界で人手不足が課題になる中、製造現場の省人化に貢献する食品機械の展示会が東京都内で開催されている。食材を自動で計量して盛り付ける装置や、チャーハンを自動調理するロボットなど最新技術を搭載した機械が並ぶ。同業界では他業種に比べ労働時間が長く離職率が高いことが悩みだけに、国内外の来場者がメーカーの説明に熱心に耳を傾けていた。
麺の絡まりほどく技術を開発
7日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催されている「FOOMA JAPAN2024」には、989社が出展した。
機械メーカーの不二精機では、パスタの麺をほぐして、自動で計量し、容器に盛り付ける業界初の装置を出展した。コンビニエンスストアやスーパーの弁当メニューでパスタは人気が高いが、製造時に麺が絡まって固まりやすく、これまでは人が麺を均等に分けて盛り付ける作業をしていた。
このため同社は、クシを使って2段階で麺の絡まりをほどく技術を開発した。1台で自動計量や容器の供給作業も行えるため、「この装置の導入で、5〜6人(分の作業)を省人化できる」(小林浩一執行役員)。1時間で約2千食のパスタを作れるという。
計量器大手のイシダ(京都市左京区)も、自動計量が難しかった麺やきんぴらごぼうなどの総菜を盛り付けられる装置を公開。食材を確実につかんで放せる独自のハンドを開発した。食材ごとに適したハンドに取り換えることで、さまざまなメニューに対応できる。
7〜8分でチャーハン100人分
機械メーカーの中井機械工業(大阪府四條畷市)は排熱が少ないIH(電気)を使い、大きな鍋でチャーハンを炒める装置を展示した。ボタンを押して、鍋に油や米、具材を入れると、センサーが反応して器具が適度にかき混ぜる。7〜8分で100人分のチャーハンを炒められ、調理現場の負荷を大幅に軽減できる。
すしのシャリやおにぎりを製造するロボットを手がける鈴茂器工のブースは海外の来場者が目立った。アジアで日本式のコンビニが広がり、おにぎりを製造する装置の需要が増えているという。また、海外でもすしを提供する飲食店の人手が不足しており、手軽に提供できるコンパクトサイズのシャリ玉ロボットを今夏に投入する。「好きな大きさにシャリ玉を変えられ、1時間で約1200貫を提供できる」(担当者)。
食品・飲食業界は人手不足が深刻化している。農林水産省によると、令和3年の食料品製造業の労働生産性は製造業より61%低く、欠員率も高い。帝国データバンク情報統括部の旭海太郎副主任は「価格転嫁が行いにくい業界で、賃上げが難しく人手確保に苦労している」と指摘する。ネガティブなイメージで人手が集まりにくいのが現状で、業界ではデジタル技術を活用し人手不足を解消しようとする動きが加速している。(黄金崎元)
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