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遠藤章さん「世界で一番売れている薬」を開発 アルツハイマー病など広がる用途
5日に90歳で死去した東京農工大特別栄誉教授の遠藤章さんが開発した、血中のコレステロール濃度を下げる特効薬「スタチン」は、毎日4000万人以上が服用するとされ、「世界で一番売れている薬」の異名を持つ。
5日に90歳で死去した東京農工大特別栄誉教授の遠藤章さんが開発した、血中のコレステロール濃度を下げる特効薬「スタチン」は、毎日4000万人以上が服用するとされ、「世界で一番売れている薬」の異名を持つ。1980年代の後半以降、三共(現第一三共)の「メバロチン」やアステラス製薬の「リピトール」など国内外の製薬会社から多くの製品が販売され、スタチン系製剤全体の市場規模は2005年に250億ドル(約3兆円=当時)に到達した。
中でもリピトールは医薬品の売上高で世界1位の座に10年以上君臨し、最盛期には年間100億ドルを超えた。ただ、近年はリピトールをはじめ特許が切れる製品が相次ぎ、低価格のジェネリック医薬品(後発薬)に置き換わることで、市場規模は縮小傾向だ。医療費の低下で、より多くの患者が利用できるようにもなる。
日本の高脂血症患者は予備軍も含めて約3千万人といわれている。またスタチンは高脂血症だけでなく、アルツハイマー病、骨粗鬆(こつそしょう)症、多発性硬化症、一部のがんなどの予防に効果がある可能性が指摘されており、細胞や動物レベルの基礎研究も始まっている。
このほか、軟骨が十分に成長しない難病「軟骨無形成症」の患者から人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り、体外で症状を再現した上でスタチンを投与すると、症状が改善することも分かってきた。治療薬としての可能性はさらに広がりそうだ。
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