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なぜ「相談」が必要なのか……「相談」は自分の思い込みを外し、応援してくれる仲間を増やす「相談」することで自らの可能性は最大化するビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

私が関わっている事業やプロジェクトで共通することは、短期的な成果ではなく、結果として長期的に継続しているものが多いということ。その背景には「相談」がある。

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 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」バックナンバー



『相談する力――一人の限界を超えるビジネススキル』

 私は20歳のときに地元である兵庫県の加古川で起業して以来、20年以上「相談」をしながらさまざまな意思決定をし、事業を進めています。そのおかげで宿泊、飲食、医療、不動産、宇宙、ヘルスケア、物流、人材、教育、エネルギー、メディアなど10を超える業界で実績を残すことができました。

 振り返れば、25歳の時にサポートした、丸亀製麺の海外1号店となるハワイ・ワイキキ店が今なお全店舗売上No.1になっていること。また、ゼロから淡路島の西海岸エリアの開発に携わり年間40万人が来る人気スポットとして定着していること。2025年、大阪・関西万博では、経済産業省や内閣官房などと官民連携で、万博後も継続して事業化を支援するプロジェクトを立ち上げられたこと。これらは私が関わっている一部ではありますが、紹介できないそれ以外の事業やプロジェクトでも共通することは、短期的な成果ではなく、結果として長期的に継続しているものが多いということです。

 その背景には「相談」があります。経営者やリーダーの大きな仕事は意思決定ですが、私は「複数の選択肢から取捨選択して自分で決める」もしくは「最後は自分の直感を信じて決める」という意思決定のスタイルではありません。そうではなくて、「相談を通じて自分の思い込みを外しながら、物事の解像度を上げることで自然と焦点が定まる」というスタイルで意思決定をしています。分かりやすく言うと、えいやっ! と1人で“決める”のではなく、さまざまな人に相談する中で選択肢が1つに定まるので自然と“決まる”というイメージです。

 この意思決定スタイルを実行するためには人に相談したり、実際に仮説検証をしたりして1次情報を取ることが必須です。とにかく多角的・多面的に360度で物事を見る必要があるからです。経営者やリーダーの中には、自ら1次情報を取る時間がないので部下やメンバーから上がってきた2次情報のみで意思決定する人も多いと思います。

 しかし、世の中は日々変化しています。食べ物に賞味期限があるように、情報にも賞味期限があります。過去の自分の知識や経験が今日通用するとも限りません。私はあらゆるものは変化するのが自然、変化しないのが不自然という前提で考えているので、“今現在”のリアリティを常に知り続けることが重要だと考えています。

 だからこそ、サービスやプロダクトのリリース前に相談するだけではなく、リリース後にも相談を活用し続けて常に情報を更新していきます。結果として、今の社会に本当に必要とされるサービスやプロダクトを生み出すことができるだけでなく、長期的に顧客に求められ続ける取り組みになっていくのだと思います。

 とはいえ、一つひとつの仮説に対して相談をしたり、検証したりすることは言葉で言うほど簡単ではありません。正直、私も面倒だと思いながら行動しています(笑)。ただ、どんなに面倒でも1次情報を超える価値はないと確信しているので20年以上、泥臭く続けられているのだと思います。

 また、私が出会ったすてきな経営者たちもみな相談上手で、企業規模が大きくなっても現場感があるという特徴を持っています。だからこそ自身の成功体験や失敗体験に縛られない意思決定ができますし、現場のリアルな実態をつかんでいるため、机上の空論にならずに本質的な解決策を提示することができます。

 自ら現場に足を運び、担当者に相談するというプロセスを、経営者になっても実践しているのです。キャリアを重ねて役職が上がれば上がるほど、「相談する回数」より「相談される回数」が増えるので、意識的に相談することが経営者には必要です。

 もう1つ、相談することで得られる価値があります。それは、相談するプロセスで共感しあえる仲間ができるということです。これはお金では買えない大きな財産になります。なぜなら、変化するスピードが早い現代においては、1人もしくは1社で何かを考える限界があるからです。既存事業を磨くにせよ、新規事業を生み出すにせよ、業界・職種問わず多様な人とのつながりを持つ価値は計り知れません。

 では、なぜ相談を通じて仲間ができるのか。結論から伝えると、人はリアリティある話しに惹きつけられて共感し、応援したくなるからです。先ほどの1次情報を取るということにつながりますが、失敗体験でも成功体験でも自ら行動して得た1次情報にはリアリティがあります。

 単なる情報であればテレビやインターネットを見れば誰でもアクセスできます。しかし、その人の行動から得られた、言ってみれば血肉化された“生きた情報”は唯一無二なので話を聞きたくなります。加えて、本人が自ら行動しているという事実から本気度が相手に伝わるので応援したくなるものです。

 実際、私自身、未経験の業界や業種で始めた事業やプロジェクトばかりですが、20年以上の「相談」を通じて生まれた世代やジャンルを超えたさまざまな仲間たちとのゆるやかなつながりがあるので、どんな分野でも安心して一歩を踏み出せます。

 一つひとつ、目の前の課題を地道にコツコツ積み上げるのは時間がかかりますが、その代わり血肉化された経験値は他の誰とも異なる独自の個性になりますし、その過程で得られた仲間の存在が、簡単に解が出せない無理難題が来た時、すぐに一歩目を踏み出せる環境を整えてくれるはずです。

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