三井住友海上などがスマートごみ箱使った事業開始へ 外国人観光客のごみ問題に対応
急増する訪日客に対応するため、多言語で分別も呼びかける。訪日客と地元住民が共存できる環境作りにつなげる考えだ。
富士山周辺の不法投棄対策として、三井住友海上火災保険などが山梨県富士吉田市で、ITを活用して効率的にごみを回収する「スマートごみ箱」の設置に乗り出すことが29日、分かった。急増する訪日客に対応するため、多言語で分別も呼びかける。訪日客と地元住民が共存できる環境作りにつなげる考えだ。
スマートごみ箱の設置は販売元のフォーステックが手掛ける。7月の富士山の山開きに合わせ、同月中に市内の3カ所に設置する。ごみが一定量たまるとセンサーが感知して自動で圧縮するため、通常の6倍の量を収容できる。遠隔地からスマートフォンで確認し、満杯になる前の最適なタイミングで回収することができ、事業者の負担軽減にもつながる。
外側にデジタルサイネージ(電子看板)を付け、英語や中国語などさまざまな言語でごみ箱の利用や分別の徹底を呼びかける。三井住友海上はスマートごみ箱に対する保険を提供する。
富士山のふもとにある富士吉田市は新型コロナウイルス禍の収束後、観光客が急増。山梨県の統計では、令和4年に同市を訪れた観光客は前年比51.5%増の396万6千人と大きく伸びた。その多くは訪日客とみられ、今後も増加が見込まれる。
一方で、オーバーツーリズム(観光公害)も顕在化している。市内の人気観光スポット周辺では、既存のごみ箱からごみがあふれたり、路上やコンビニエンスストアのトイレへの不法投棄が急増したりし、対策が急務となっている。
大阪市の道頓堀商店街では、スマートごみ箱の設置から約2カ月で街頭の散乱ごみが7〜8割減ったという。三井住友海上は富士吉田市での成果も見極め、観光公害対策として広く展開することも視野に入れる。
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