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鹿島、地熱発電参入へ 次世代技術のカナダ新興に出資

火山国の日本では、地熱発電の可能性は高いとされるが、開発はあまり進んでいない。火山近くの温泉地で温泉が枯れるなどの影響が懸念され、地元との調整が難航するためだ。

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産経新聞

 火山国の日本では、地熱発電の可能性は高いとされるが、開発はあまり進んでいない。火山近くの温泉地で温泉が枯れるなどの影響が懸念され、地元との調整が難航するためだ。こうした中、鹿島は昨年12月に地中の蒸気を使わない次世代の地熱発電技術を持つカナダのエネルギー系スタートアップ(新興企業)、「エバーテクノロジーズ」に出資した。ノウハウを蓄積し、地熱発電事業への参入を目指す。

 従来の地熱発電は、マグマだまり近くの熱せられた地下水がたまる「地熱貯留層」にある蒸気を利用する。地熱貯留層は水を通さないキャップロックという層の下に閉じ込められる形で存在する。そこに井戸を掘ると、圧力の低い地上に向かって熱水と蒸気が一緒に噴出。そのときの蒸気でタービンを回して発電する。熱水は再び地中深くに戻す仕組み。だが、地熱貯留層は掘り当てることが難しく、当てても短期間で蒸気が出なくなるリスクもある。

 これに対し、次世代技術は「クローズドループ」と呼ばれ、地下深くに広がる高温の岩盤層にパイプを通し中の水を温め、くみ上げて地上で熱交換し蒸気を発生させて発電する。地熱貯留層がない場所にも設置が可能で、温泉地を避けるなど地元同意が得やすい利点もある。

 エバー社は2017年に設立。カナダで4年以上実証実験を行い、現在、ドイツで商用発電施設を建設している。米国でもデータセンターに地熱発電を活用する動きがあり、脱炭素化の中で重要な電源だ。

 日本の地熱資源量は世界3位を誇る。この次世代技術が地熱発電を拡大させる可能性がある。鹿島では「ゲームチェンジャーになり得る」とし、実用化に意欲を示す。(織田淳嗣)

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