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「シャープらしさ取り戻す」 日本人中心の新体制で巻き返し 鴻海協力でAIなど新事業も

シャープの沖津雅浩社長兼最高経営責任者は16日、社長就任後初の記者会見を開き、令和9年度に白物家電などを含む既存のブランド事業の営業利益率を7%に引き上げるとの方針を明らかにした。

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産経新聞

 シャープの沖津雅浩社長兼最高経営責任者(CEO)は16日、社長就任後初の記者会見を開き、令和9年度に白物家電などを含む既存のブランド事業の営業利益率を7%に引き上げるとの方針を明らかにした。沖津氏は「シャープらしさを取り戻す」と述べ、家電を中心に付加価値の高い製品を開発し、経営の立て直しを図るとしている。


シャープの経営方針について説明する沖津雅浩社長=堺市

 シャープは液晶パネル事業の不振によって4、5年度の2期連続で巨額の最終赤字に陥った。業績改善に向け、5月に堺市の大型液晶パネル工場の生産を停止し、ブランド事業に集中した事業構造へとシフトする中期経営方針を発表。これに伴い、親会社である台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業出身の呉柏勲(ごはくくん)氏から、家電などに詳しいシャープ生え抜きの沖津氏に社長を交代する人事が発表された。

 新体制では、鴻海の経営トップである劉揚偉・董事長が代表権のない会長に就いた一方で、執行を担う経営陣は日本人が占めた。呉氏は副会長として液晶などのデバイス事業の縮小を担う。

 沖津氏は「会長にはわれわれのサポートをしていただくということで、責任分担は明確」と説明。鴻海の協力を得て電気自動車(EV)と人工知能(AI)関連の新規事業を立ち上げ、「将来的に売上高100億円以上を目指す」とした。鴻海はAIサーバーやEV開発の技術に強みを持っており、呉氏に橋渡し役となってもらい、協力を得たい考えだ。

 また、平成28年に堺市に移転した本社について、沖津氏は「きちっと利益を出してお金を作って、大阪市内に戻りたいと考えている」と発言。今後、AIやEV関連の人材を獲得するにあたり、都心から離れた立地は不利になることから、前に本社のあった大阪市阿倍野区を含めて移転先を検討するという。

 一方、堺市の液晶パネル工場は、AIデータセンターへと転用する方向でソフトバンクやKDDIなどと協議が進んでいるが、沖津氏は「ほかの企業と新たに協議を開始することはない」とした。(桑島浩任)

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