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<排出量取引Q&A>CO2に価格付け企業行動の変化促す 脱炭素投資を促進、罰則も焦点

2排出量取引のメリットや課題などをQ&A形式でまとめた。

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産経新聞

 2050(令和32)年のカーボンニュートラルの実現に向け、二酸化炭素(CO2)の排出量取引の制度設計に向けた議論が政府の有識者会議で3日に始まった。排出量取引のメリットや課題などをQ&A形式でまとめた。

 Qどんな制度か

 A企業の二酸化炭素(CO2)排出量に上限を設け、その過不足分を企業間で売ったり買ったりできる制度。実際の排出が排出枠を超過した場合に、排出が少なかった企業から排出枠を買い取って、自らの削減分として算入できる。

 Q具体的には

 A先行する欧州連合(EU)では2005年から義務的な制度として運用され、CO2排出量が年間2.5万トンを超える設備・施設ごとに排出枠が割り当てられている。超過したのに他の企業から排出枠を購入しなければ、1トンあたり100ユーロの課徴金が課される。

 Q制度のメリットは

 A製造時にCO2排出を減らすなどした製品はコストが高くなり、通常の商品と競争するのは難しい。だが、排出量を減らして排出枠を売ることができるのであれば、企業にも脱炭素の投資負担を軽減できるメリットが生じる。

 Q政府の狙いを

 A排出量取引を通じ炭素価格が明示されれば、企業にとって脱炭素製品を開発・投資するための動機付けになるとみている。国際的にも企業が排出するCO2に価格を付け、企業行動を変化させる「カーボンプライシング」を整備する流れは強まっている。

 Q日本の制度は

 A経済産業省が令和5年度に「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ」を設立しており、CO2排出削減に取り組む企業700社超が参加する。ただ、参加や目標設定などは企業の自主性に委ねている。法的な義務がないため、水運業や電子部品・デバイス製造業の参加割合が低いなど業種ごとに差があり、排出削減の実効性が課題になっている。

 Q制度の本格導入に向けた方向性は

 A岸田文雄首相は今年1月の施政方針演説で排出量取引について『8年度の本格導入に向けて、大企業の参加義務化や削減目標の認証制度の創設を視野に法制化を進める』と打ち出した。今後の制度設計に向けては制度義務化の対象範囲や目標設定方法、目標を達成できない際に課徴金を科すといった罰則の有無などが焦点になっている。(万福博之)

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