ロボットが物流滞る「2024年問題」に対処 自宅でフォークリフトの遠隔操作も
物流業界ではドライバーの残業規制で物流が滞る「2024年問題」や人手不足が大きな課題となっている。
アジア最大級の物流機器・設備の展示会「国際物流総合展」が10日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開幕した。物流業界ではドライバーの残業規制で物流が滞る「2024年問題」や人手不足が大きな課題となっている。倉庫内の業務の効率化が運転手の荷役や荷待ち時間の短縮につながることから、作業を自動化・省力化する最新のロボットや機器などの展示が目立った。
国内外の580の企業や団体が出展した。フォークリフトにカメラやセンサーを取り付け、遠隔地から操縦できる技術を展示したのはNEC。隣のNIPPON EXPRESSホールディングスのブースにあるフォークリフトを遠隔操縦し、荷物の積み下ろしをするデモを披露した。
自動と遠隔操縦のハイブリッドで使えるように開発を進めており、来年度の販売を目指す。NECの米竹淳一郎シニアプロフェッショナルは「倉庫が遠隔地にあり、人材採用に苦労している企業も多い。そうした課題を解決したい。将来的には家で作業できるようにしたい」と話した。
「荷待ち」短縮
物流システム大手のダイフクは、さまざまな形状の商品を正確に、高速で仕分ける無人搬送ロボットを出展した。台車上部のトレイに商品を投入すると、分速180メートルの速さで指定された箱の前に移動。トレイが傾き、商品が仕分けられる。1時間当たりトレイを1万回傾けられるという。
多品種の商品を取り扱うコンビニエンスストアやスーパーなどの物流作業を効率化できるといい、「2024年問題の解決策として運転手の荷待ち時間の短縮に貢献できる」(システムソリューション1部の芝村二郎第2グループ長)。
ヤマハ発動機が出資するイブ・オートノミー(静岡県磐田市)は工場や倉庫向けの無人搬送車を出展。自動運転のソフトウエアを手がける新興企業、ティアフォー(名古屋市)と共同開発した。台車を付けると最大1.5トンまで運べる。
ゴムの吸着力
タイヤ大手、ブリヂストンの社内ベンチャー、ソフトロボティクスベンチャーズ(東京都中央区)はロボットハンド「TETOTE and(テトテ アンド)」を初公開した。
タイヤやホースの製造ノウハウを生かしたゴム人工筋肉4本の真ん中に吸着パッドを搭載。従来品を上回る吸着力があり、国内に流通する数万点の日用品の取り出し作業が可能に。「日用品関連の企業への導入を促進したい」(同社の山口真広主幹)という。一方、アムンゼン(横浜市)は吸い込み型モーターを使い、重量物を吸着して搬送する装置「イージーリフト」を展示した。指先でレバーを上げ下げするだけで、女性や高齢者でも簡単に重い荷物を運べる。
矢野経済研究所の調査によると、国内の自動配送ロボットやドローンを活用した物流市場規模は、令和7年度に約23億円、12年度に約198億円に拡大すると予測されている。現在は実証や法整備が進められ、7年度から本格的に市場が立ち上がるとしている。物流業界が深刻な人手不足に直面する中、最新ロボットが活躍する場は広がりそうだ。展示会は13日まで。(黄金崎元)
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