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NTT東、養豚の豚舎臭気を見える化 環境負荷の少ない都市型畜産実現を目指す

NTT東日本が横浜市泉区の養豚農家の豚舎で風向き、風速などの気象条件と周辺住民への臭気の関係をIT技術を活用して分析する検証を進めている。

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産経新聞

 NTT東日本が横浜市泉区の養豚農家の豚舎で風向き、風速などの気象条件と周辺住民への臭気の関係をIT技術を活用して分析する検証を進めている。豚の飼育環境を「見える化」することで、餌のやり方や豚舎の温度管理などを改善し、効率的で環境負荷の少ない都市型畜産の実現を目指す。


臭気などを計測するセンサーを設置した豚舎(NTT東日本提供)

 11月末まで実施している検証では、あらゆる機器がつながるモノのインターネット(IoT)を手がける嘉創(東京都中央区)と連携してシステムを運用し、豚舎の温湿度やアンモニア臭気濃度などをモニタリングする。風向きや気温、湿度などを考慮し、餌のやる時間帯や消臭装置の配置などを工夫することで、周辺への臭気の広がりを防ぐ。

苦情の5割超が悪臭関連

 NTT東によると、畜産経営に対する苦情は悪臭関連が5割超で最多となっているという。特に養豚事業者への苦情が多い傾向にあり、豚舎と民家の距離が比較的近い都市型畜産の大きな課題になっている。

 NTT東は、令和元年から県養豚協会などと豚の飼育環境の見える化に取り組んでおり、豚のせきの音を検知して呼吸器などの疾患を見つける体調管理したり、人工知能(AI)カメラを使った体重・体格・肉質の推定したりする実証実験を重ねている。近隣の食品加工工場から出る規格外品や端材である「食品残渣(ざんさ)」を飼料として活用するマッチングなども進めている。

 NTT東が都市型養豚に注力するのは、本県が近代養豚の発祥の地だからだ。江戸時代末期の開港とともに、外国人からの強い要望で始まったとされ、横浜の発展と密接な関係がある。NTT東の担当者は、巨大な消費地の首都圏に位置している都市型畜産を地産地消で継続することによって「運送コストの削減など、環境対策にもつながる」と強調する。(高木克聡)

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