ヘルスケアの課題解決案を出し合う「データソン」 DeNAと横浜市立大が人材育成で連携
参加した学生らは介護士や薬剤師、獣医師などで、医療現場のデジタル化により、データに基づいた病気やけがの予防といった新たなヘルスケアの実現を目指す。
ディー・エヌ・エー(DeNA)グループでヘルスケア事業を展開するDeSCヘルスケア(東京都渋谷区)と横浜市立大が連携し、データサイエンスを専攻する大学院生が医療ビッグデータを分析して社会課題の解決についてアイデアを競い合う「データソン」をこのほど開催した。参加した学生らは介護士や薬剤師、獣医師などで、医療現場のデジタル化により、データに基づいた病気やけがの予防といった新たなヘルスケアの実現を目指す。
データソンとは、データと「マラソン」と組み合わせたIT業界の造語で、データサイエンティストらが集まってチームを作り、特定のテーマに対して集中的にデータ分析をして解決策のアイデアを出し合うイベントを意味する。今回のイベントでは歩数と腎臓機能の関係性を分析した。
手書きメモなどが使われる現場も
DeNAがヘルスケア事業で蓄積したデータに匿名化などの加工を施し、ビッグデータとして使用した。データサイエンス研究科ヘルスデータサイエンス専攻の大学院生13人が3チームに分かれ、さまざまなデータを抽出して、因果関係などの仮説を披露した。
理学療法士の岡徳之さん(39)は「何万人分という大きなデータを分析することができ、貴重な経験になった」と振り返った。
大学院生は医療現場を経験し、デジタル化の必要性を実感し、大学の門をたたいたという。薬剤師の北牧舞さん(33)は「医師と薬剤師のやり取りは、手書きのメモなどアナログな手法が残っていて、デジタル化することで記録に残す必要を感じた」と話す。
証拠に基づく医療を動物に
獣医師の古里司紋さん(29)は「血液検査などのデータは膨大にあるが、治療では生かされていない。しゃべることができない動物だからこそ証拠に基づく獣医療が必要になってくる」とデータ分析の重要性を強調した。
横浜市立大学とDeNAは令和4年8月にヘルスケア分野を主としたデータサイエンスに関する産学連携協定を締結。共同で教育プログラムを企画し、医療分野でのデジタル人材の育成に注力している。(高木克聡)
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