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信頼できるメンバーと、働いて楽しい環境を作ることがCIOに求められる役割――みずほリース 大高昇氏「等身大のCIO」ガートナー 浅田徹の企業訪問記(1/2 ページ)

モノを通じたファイナンスによりお客さまの財務戦略をサポートしてきたみずほリース。経済状況、社会状況の急激な変化や新ビジネスに対応し、お客さまとの価値共創を強化するためには、ビジネスとデジタルの融合が欠かせない。そのデジタル戦略とは。

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みずほリース 常務取締役 ITシステム・事務グループ長 大高昇氏

 1969年、日本興業銀行(現みずほ銀行)を中心に、国内事業会社、および生命保険会社など16社の参加により総合リース会社であるパシフィック・リースとして設立され、1981年に商号を興銀リースに変更。2019年にみずほフィナンシャルグループの持分法適用関連会社となり、現在の商号に変更したみずほリース。50周年を迎えた2021年に、「ニーズをつなぎ、未来を創る」という新たな経営理念を策定し、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指している。

 また2023年より「挑戦、変革、成長」をキーワードとした「中期経営計画2025」を推進。ビジネス戦略の遂行と持続的な成長を下支えする経営基盤の強化・高度化の一環として、「ビジネス領域の拡大や新たなビジネス実装に向けデジタル技術を活用」「次期システム導入等によるビジネス対応力の強化と顧客利便性の向上」「デジタルトランスフォーメーション(DX)を牽引するコア人財の育成」によりDXを加速させ、営業スタイル、企業カルチャーを変革し、お客さまとの価値共創の強化に取り組んでいる。

 お客さまと共に未来を共創するプラットフォームカンパニーを目指す、みずほリースのデジタル戦略について、常務取締役 ITシステム・事務グループ長である大高昇氏に、ガートナージャパン エグゼクティブ プログラム リージョナルバイスプレジデントの浅田徹氏が話を聞いた。

会社の大変革と同時にシステム大刷新

――まずは、これまでのキャリアについて聞かせてください。

 1987年に興銀リースに入社して37年間、社名は変わったもののずっと同じ会社にいるのはCIOの仲間内では珍しいのではないでしょうか。入社後、1990年中旬までは営業職でした。当時はまだ小さな会社で、今と比べるとビジネスを凝縮した形で経験させてもらえました。例えば、現在の稼ぎ頭である不動産部門の出発点となる、新会社の設立にも携わっていました。

 その後、経営企画を経験し、1996年にリースの基幹システム刷新プロジェクトに参画しました。当時、システムのことはあまり理解していませんでしたが、業務要件を定義する側として参加し、これがITとの最初のかかわりでした。この基幹システムは、1999年に相当苦労して稼働に漕ぎ着けましたが、その時はシステム側で内部のデータ修正等まで携わりました。それ以降、2003年に経営企画に戻り、システムとは関わりを保ちつつ2016年まで経営計画の策定やCFOの補佐などを担当していました。

 2017年に会社として今後のITシステムのガバナンスや将来構想を考える上でシステム企画部門が必要ということになり、自らシステム企画部門を設立した上で、その責任者に任命されて今に至ります。

――システム企画部門が必要だと考えたのは、どのような理由からでしょうか。

 当時のシステム部門は、必要最低限の投資により、システム部門主体で専らシステムの維持改修を行っていました。一方、システムの業務要件に責任を持つべき現場部門はその認識がない、システムの事はシステムがやってくれるという状況でした。一方、当時の経営陣には、経営課題として長期にわたる戦略的IT投資の必要性が認識されつつあり、これらがシステム企画部門の立ち上げに繋がりました。システム企画部門は、2〜3人でスタートしましたが、今は次期システムプロジェクトチームを含め15人程度になっています。

 当社では次期システムへの移行プロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトでは、1999年に稼働したリース基幹システム、およびその前年に稼働した金融システムの刷新を進めています。また2つのシステムが動くインフラ環境やセキュリティも一世代前だったので、こちらの刷新も必要になり、基幹システムに関連する情報系システムも含めると4つのプロジェクトが動いています。

 金融システムは2025年第3四半期、リース基幹システムは2026年第3四半期に本番稼働する計画です。

――2016年までは最小限の人材で、ITシステムの維持管理を行い、2019年にはみずほリースに移行するという会社の大きな変革も乗り越え、システム企画室、デジタル推進部と続けて組織を立ち上げ、次期システムの刷新にも取り組んでいる。こうした原動力はどこにあるのでしょう。

 今まさに会社が大きく変革しているときということが最大の追い風であると思います。ITシステムの観点では、乗り越えるべき基幹システムのEoSという大きな崖がありましたが、会社が成長していく中で成長を支えるために必須な投資という位置づけを得ることができました。またみずほFGの中から優秀なIT人材を集めることができたことも大きなポイントでした。また社内に基幹システムの刷新プロジェクトを経験している人はほとんどいなかったのですが、1999年に基幹システムを刷新したときの私自身の経験も少なからず役に立っています。

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