ANA、欧州便拡大 ミラノ便就航、インバウンド追い風に貨物需要も取り込み
全日本空輸が欧州への路線を強化している。新型コロナウイルス禍からの回復によるインバウンドを追い風に、貨物需要を取り込み、中東やアフリカ方面への中継地点として欧州を確立する狙いがある。
全日本空輸(ANA)が欧州への路線を強化している。3日、羽田空港とイタリア・ミラノを結ぶ路線を新規就航。来年には欧州2都市へ路線を追加する。新型コロナウイルス禍からの回復によるインバウンド(訪日外国人)を追い風に、貨物需要を取り込み、中東やアフリカ方面への中継地点として欧州を確立する狙いがある。
来年1月にはスウェーデンのストックホルム、2月にはトルコ・イスタンブールを結ぶ路線を就航する。いずれも週3往復。当初は、2020年春以降に順次就航予定だったがコロナ禍で延期されていた。
ANAが欧州に力を入れるのは、コロナ禍から回復する旅行需要に加え、生成人工知能(AI)の発展で世界的に需要の拡大する半導体を中心とした貨物需要の取り込みを図るためだ。今後の旅行・出張先として伸びしろのある中東やアフリカ方面へ乗り継ぐ中継地点にもなる。
すでに今年7月にはドイツ・ミュンヘン、フランス・パリの2路線を増便。8月にはオーストリア・ウィーン路線を4年ぶりに再開。日欧間を結ぶ週間運航便数は49便で、航空会社で世界首位となっている。
国内で人口減少が進む中、国際便の比重は高まっている。持ち株会社のANAホールディングスの2024年3月期連結決算では、初めて国際線の旅客収入(7281億円)が国内線(6449億円)を上回った。アジアに比べて便数が少ない欧州は、国際線強化に向けた重要な地域だ。
今回就航先となったイタリアでANAは、今年1月に国営航空会社「ITAエアウェイズ」と共同運航を開始。また7月に現地の鉄道会社とも提携し、将来的には、飛行機に載せた荷物を電車の終着駅で受け取れるようにするなどの、サービス拡充を目指している。(織田淳嗣)
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