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“お手伝い”すれば割引や無料宿泊、趣味をお得に楽しめるサービスが人手不足の解消策に

“お手伝い”をすることで、施設の利用料が割り引かれたり、宿泊先を無料で確保できて旅行をお得に楽しめるサービスの需要が高まっている。

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産経新聞

 “お手伝い”をすることで、施設の利用料が割り引かれたり、宿泊先を無料で確保できて旅行をお得に楽しめるサービスの需要が高まっている。人手不足が深刻な事業者側にとっては人手を確保でき、利用者にとっては割安で趣味などを満喫できるため、双方がメリットを受けられる「ウィンウィン」になると好評だ。人手不足がますます深刻化する中、新たな人材確保の手段としても注目が集まる。


チョコザップは清掃などのお手伝いをすると月額会費を割り引くサービスを実施している=東京都新宿区

清掃でジムの月額費が割引

 トレーニングジム運営のRIZAP(ライザップ)は、展開する24時間営業の小規模無人ジム「chocoZAP(チョコザップ)」で2022年7月からサポート会員制度を導入。サポート会員は、ジムの運営を手伝うと、月額会費(3278円)の割引を受けられたり、ギフトカードをもらえたりする。

 チョコザップは現在、全国に約1800店を展開し、会員数は約130万人に達した。ただ、無人運営だけに、清掃や器具の点検が行き届かないという課題が浮上。また、急激に店舗数を増やした結果、店舗をチェックできるスタッフが足りなくなり、人手不足も顕在化した。

 その解決策として導入されたのがサポート会員制度だ。会員に利用店舗の清掃などを手伝ってもらうことで人材不足の解消を図り、その見返りとして特典を付与。清掃や備品の補充などを手伝う「フレンドリー会員」には、月4回の活動で月額会費から1000円を、月8回の活動で2000円をそれぞれ割り引く。器具の不具合に対応できる「セルフメンテナンス会員」にはギフト券を配っている。

 昨年8月にフレンドリー会員となった都内に住む主婦の南雲彩加さん(35)は「アルバイト感覚でトレーニングもできて、得した気分になる。今では割引を受けることがモチベーションになり、ジムに通う回数も増えて運動習慣がついた」と話す。

 ライザップの担当者も「人件費が高騰する中で正社員を雇うよりも人件費を抑えられ、人手不足という社会的課題にも対応できる制度だ」と胸を張る。すでに今年1月時点でサポート会員の登録者数は3万8000人を突破。今後のさらなる増加を見込んでいる。

働き旅で地方の人手不足解消

 他方、旅行先で一時的に働くことで、宿泊施設を無料で確保でき、その土地の魅力も味わうことができるサービスの利用者も増えている。

 提供しているのは、18年に設立された株式会社「おてつたび」(東京)だ。人手不足に悩む事業者と地方や旅行に関心のある人材をつなぐ同社運営のマッチングサイト「おてつたび」には、現在、ホテルや農家など約1800の事業者が参加し、約6万8000人の利用希望者が登録する。

 事業者は宿泊場所を提供し、1泊2日から2カ月未満の仕事をおてつたびを通して募集。「働き手を確保しづらい地方や離島でも全国から働き手を集められ、利用者も宿泊先を無料で確保でき、仕事を通して現地の人や地域社会と関われる」(広報担当)といったように、双方が利点を感じられるという。

 創業者の永岡里菜氏は三重県尾鷲市の出身。大学進学を機に首都圏で暮らすようになったが、周囲では尾鷲市をはじめ、全国の魅力ある地方を知らない人が多いことを実感。そういった土地に人を集める仕組みを作ろうと起業に至った。

 未経験者でも可能な仕事に募集を絞ったり、面接なしでも応募者の興味や熱意を自己紹介文で書いてもらうなどで事業者の不安感を緩和するなど工夫を凝らし、実績を重ねた。

 新型コロナウイルス禍で地方移住への関心が高まったことや、近年の円安で海外旅行が割高になり国内旅行の需要が高まったことも追い風となって利用者が急増。最近では同サイトを通じて、短期雇用から正規社員に転職を果たした人も。50歳以上の利用者も増えているという。(西村利也)

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