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万博で「空飛ぶクルマ」が示した“航路”タクシー事業想定も ANAHD保理江裕己さん

2025年、大阪は日本の「空の移動革命」に向けた歴史的な瞬間を迎える。

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産経新聞

 2025年、大阪は日本の「空の移動革命」に向けた歴史的な瞬間を迎えました。


保理江裕己さん

 私たちANAホールディングス(HD)は、米ジョビー・アビエーションとともに大阪・関西万博会場で10月1日から、世界初の一般公開でも飛行を実施しました。

 ヘリコプターや小型飛行機の動力系統(電力を供給するシステム)は内燃機関(エンジン)でしたが、Joby S4はバッテリーとモーターを動力系統とします。電気の力で静かに、そして安全に飛行する新しい航空機なのです。

 Joby S4は、ジョビー社独自の技術開発による圧倒的な静粛性を実現。万博会場西南エリアを飛行しても、来場者のみなさんに気づいてもらえないほどの静かさとなっていました。

 6つのプロペラで実現した垂直離着陸機能と静粛性が合わさり、街なかの商業施設やショッピングモールに離着陸場ができれば、街の新たな移動手段となります。

 もちろん、安全性は最優先で、複数の重要部品がいくつも重ねられているため、従来の飛行機と同等の極めて高い安全設計となっています。すでにJoby S4が実施した試験飛行の距離は6.5万キロ、地球約1.6周分にもなります。

 ANAHDとジョビー社は、25年8月から合弁会社設立の検討を本格化させました。航空機の安全運航を堅持してきたANAのノウハウと、ジョビー社が長年開発してきた技術とを掛け合わせ、将来的に「エアタクシー」サービスを提供し、移動の概念を刷新します。

 実現すれば、大阪市内から関西空港へのアクセスは、わずか十数分に短縮されます。関東圏、関西圏といった大都市圏からサービスを開始し、全国へと展開することで、人口減少や交通渋滞など社会課題解決にも貢献できると確信しています。

 万博でのデモ飛行は、エアタクシーサービス実現にむけた第一歩となりました。パイロットが操縦し、垂直に離陸後、プロペラの角度を変えて、翼で飛行。会場西南側の海上を周回しました。

 大屋根リング上や西ゲート付近など会場のさまざまな場所から、飛行する姿をみていただけたはずです。


ほりえ ゆうき 1986年生まれ。2009年全日本空輸入社。17年よりエアタクシー、空飛ぶクルマの新規事業をリードし、現在に至る。

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