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NEC、海底ケーブル敷設船、自社保有の意向 事業領域広げ、シェア拡大、M&Aも検討

インターネットの通信量が増加し海底ケーブルの重要性が高まる中、通信機器やケーブルの提供から敷設、保守まで事業領域を広げることで競争力を高める狙いがある。

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産経新聞

 NECは13日、投資家向けイベントをオンラインで開き、海底ケーブル敷設船を自社で保有する意向を示した。インターネットの通信量が増加し海底ケーブルの重要性が高まる中、通信機器やケーブルの提供から敷設、保守まで事業領域を広げることで競争力を高める狙いがある。船の確保についてはM&A(企業の合併・買収)なども検討するという。

 イベントで山品正勝執行役は「ケーブル船保有の意志はある」と述べ、今後は母港や保有隻数などの事業計画を検討する考えを明らかに。

 NECはこれまで、ケーブルや通信機器の製造のほか、海洋調査やルート設計などを担ってきた。敷設工事はNTTグループなど敷設船を保有する企業が実施してきたが、NECは2022年、英国企業と長期チャーター契約を結ぶなど、事業拡大を進めている。

 敷設船を保有すれば発注に機動的に対応できるようになる一方、船の維持費用がかかる。山品氏は「最大だと向こう5年で5隻くらいは必要」と指摘。「稼働率が重要になる」とし、自社保有数やチャーター船数などは今後協議するとした。保有船の確保については「(海底ケーブル敷設会社の)M&Aもひとつの手段としてみている」と述べた。

 海底ケーブルは累計敷設距離のシェアがフランスが約4割、米国が約3割、日本が約2割。フランスは24年末に海底通信インフラを手掛けるアルカテル・サブマリン・ネットワークスを国有化。アメリカも米国防総省が重要顧客として関わりが深い。

 日本は、総務省が発表した30年までのデジタル分野の成長戦略「デジタル海外展開総合戦略2030」で、海底ケーブルの世界シェアを35%に引き上げる国家目標を掲げた。高市早苗首相は7日の経済安全保障推進会議で、敷設工事や保守の「役務」にも財政援助を可能にするよう法改正の検討を指示した。

 NECは世界的な需要増と政府からの支援を背景に事業を拡大したい考え。森田隆之社長兼最高経営責任者(CEO)は「シェア40%を取ってもおかしくない」と見通しを示している。(高木克聡)

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