上場企業の9月中間期は5期連続増益見通し AIブームで電機好調、自動車の減益幅縮小
米国の高関税政策が製造業の利益を圧迫したが、世界的な人工知能ブームの追い風を受ける一部業種が全体を牽引した。
上場企業の2025年9月中間決算の発表が14日、集中日を迎えた。SMBC日興証券の13日時点の集計によると、純利益の合計額は前年同期比8.6%増の24兆4954億円と5期連続のプラスになる見通し。米国の高関税政策が製造業の利益を圧迫したが、世界的な人工知能(AI)ブームの追い風を受ける一部業種が全体を牽引(けんいん)した。
東京証券取引所の最上位「プライム市場」に上場する3月期決算企業を中心に、13日までに決算を開示した1031社の業績を集計した。開示率は約9割。
業種別では、AI・半導体やデータセンター向けの需要が拡大している電機のほか、デジタル化投資の需要を取り込む情報通信が好調だった。株高の恩恵を享受する証券も業績が伸長した。
製造業全体では1.2%の減益。このうち自動車を含む輸送用機器は「トランプ関税」の悪影響で17.3%の減益となった。それでも日米関税協議が決着したことに加え、円安による業績押し上げ効果もあり、4〜6月期と比べると減益幅は縮小した。
26年3月期の通期は3.1%の減益が見込まれる。ただ、足元では通期業績予想の上方修正が相次ぐ。SMBC日興証券の安田光チーフ株式ストラテジストは「今の為替水準が続けば、増益で着地する可能性が高い」との見通しを示す。
来期以降は高市早苗政権の経済政策が企業業績を左右する可能性もある。安田氏は「物価高対策が進み、実質賃金がプラス化するタイミングが早まれば、個人消費に関連する業種は恩恵を受けるのではないか」と分析している。
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