対面での議論活性化、新しい発想生むオフィス 塩野義製薬、「うめきた」新本社を公開
大阪から世界へつながるイノベーション拠点を目指し、社員独自の発想が生まれやすい環境整備にこだわった。
塩野義製薬は19日、JR大阪駅北側の「グラングリーン大阪」のビルに移転した「グローバル本社」を報道陣に公開した。大阪から世界へつながるイノベーション拠点を目指し、社員独自の発想が生まれやすい環境整備にこだわった。業務開始は27日からとなる。
同社は創業以来、150年近くにわたり「薬のまち」として知られる大阪市中央区の道修町(どしょうまち)に拠点を置き続けてきた。本社機能の移転は大きな節目となる。
グローバル規模での競争が激しさを増す中、持続可能な成長環境を整える必要性から移転を決定。新本社はグラングリーン内のオフィスビル「パークタワー」の24〜26階の3フロア。これまで分散していた本社機能を一堂に集約し、1100人の収容が可能となった。
手代木功会長兼社長はこの日の説明会で「道修町の精神を受け継ぎ、新たなグローバル本社をつくることが150年の歴史をさらに200年、300年と継続するために必要だ」と述べた。
コンセプトは「FACE(フェイス)」。対面での議論を活性化させ、国内外のビジネスパートナーが集まる拠点を目指す。働きやすいオフィス実現のため、20、30代を中心とした若手社員のアイデアを取り入れ、竹中工務店が内装を手掛けた。
オフィス特有の大きな柱や壁で仕切られた部屋はなく、席はフリーアドレスで畳を使った席や小上りのようなスペースなども設けた。さらにフロア中央の床を抜き、2カ所に階段を設置。開放的で社員が集まりやすい空間づくりにこだわった。
グラングリーン大阪はJR大阪駅と直結しており、利便性が高い区域として各企業が熱視線を注ぐ。塩野義製薬をはじめ、クボタやコクヨ、産業ガス大手のエア・ウォーターも本社移転を決定。電通の関西オフィスも入居を予定している。
うめきたエリアはビジネス街として急成長を遂げている。また、大学や研究機関、スタートアップなども集積。塩野義はこうした環境を踏まえ、産官学やスタートアップとの交流促進による共創の場としての機能も期待する。
約1週間前に初めて新本社を訪れたという手代木社長は「次の時代につなげる会社をどう残していくのか、どう発展させていくのかという点でも非常にいいオフィスとなった」と感想を語った。そのうえで「海外の社員をはじめ、多くの人材が交流しながら新しい戦略を作り出す拠点にしていきたい」と述べた。(清水更沙)
copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.


