検索
ニュース

知っていますか「分散備蓄」 期限切れにに注意して、楽しみながら入れ替えも こちら警視庁災害対策課

わが家は水も非常食も衛生用品も、災害時のストックはバッチリ−。そんな防災意識の高い家庭でも、改めて点検しておきたいのが「分散備蓄」の考え方だ。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
産経新聞

 わが家は水も非常食も衛生用品も、災害時のストックはバッチリ−。そんな防災意識の高い家庭でも、改めて点検しておきたいのが「分散備蓄」の考え方だ。過去の災害では、家具の倒壊で家の中を移動できなくなったり、一部が浸水したりするなどして、せっかく用意した備蓄品を利用できなくなるケースも発生した。警視庁災害対策課はX(旧ツイッター)で、災害時の備えを一カ所にまとめず、分散して保管することを勧めている。

在宅避難と持ち出し、どちらも想定

《わが家では、家具などが倒れるなどして、非常用の備蓄品が取り出せなくなるのを防ぐため、リビングと玄関付近の2カ所に分けて非常食やライトなどを備えています》

 Xにこう投稿したのは、十数年にわたり自宅で「分散備蓄」を続けてきた災対課の石川忠警部補(44)だ。「ほかの家では備蓄を分散しているという話を聞くことが少なく、多くの人に知ってもらおうと考えた」という。

 石川さんの家では、玄関にレインコートやヘルメットなど「避難時に持ち出すこと」を想定したものを中心に配置。一方、リビングには非常食や水、ランタンなど「自宅での避難」を想定した物品をそろえ、妻と子供2人の計4人家族が、1週間生活できる分を準備しているという。

  また、「冷蔵庫も備蓄品を入れるものだと考えている」といい、実際に家の冷蔵庫には生鮮食品だけでなく、日持ちするクッキーなどを常備。3つ目の「備蓄倉庫」として活用している。

 「分散すれば、自宅の水没などで一部が使えなくなった場合でも『備蓄ゼロ』にはならない」と石川さんは実践を呼びかける。

家全体を「防災倉庫」として活用

 実際に、備蓄品が使えなくなってしまった事例も確認されている。

 防災に関する教育や啓発を行うNPO法人「プラス・アーツ」東京事務所長の小倉丈佳さんによると、平成23年の東日本大震災では、住宅1階に置いていた備蓄品が津波で流されてしまうケースがあった。

 まとまった収納スペースが複数、確保できない場合でも、小倉さんは「家全体を『防災倉庫』として備えるべきだ」と説明。机の下などのちょっとした隙間に、備蓄品を少しずつ分けて置いておくことを勧めている。管理が及ばず、有事の際に賞味期限や使用期限が切れていて食べられない、使えないということにも注意したい。

 石川さんは、「賞味期限を表示したラベル側が目に入るように置き、期限切れになる前に入れ替えるようにしている」という。また小倉さんは、普段使いしない備蓄品であっても収納の奥の方にしまわず、「日常的に目に入る場所に置くことが重要だ」と説く。

日常的に消費しながら買い足して

 さらに、小倉さんが推奨するのは、備蓄品を日常生活の中で消費し、使った分だけ買い足す「ローリングストック」だ。楽しみながら、備蓄品の使い方も学ぶことができるという。

 たとえば、年に1回、「おうちキャンプ」と称して家で電気やトイレを使わない日を設ければ、携帯用簡易トイレの使い方を学ぶ機会となる。また、備蓄品のレトルト食品の中に有名シェフが監修したものなどを入れて、月に1回、食べる日を決めておくと、備蓄食品の入れ替えを“ご褒美感覚”で行える。

 プラス・アーツはウェブサイト上で、「在宅避難」「持ち出し品」などのカテゴリー別の備蓄品リストを定期的に公開している。4人家族を想定した推奨個数も示しており、活用を呼びかけている。(宮野佳幸)

copyright (c) Sankei Digital All rights reserved.

ページトップに戻る