日本単独で衛星測位可能に……「みちびき」7機目、産業デジタル化を加速 安全保障にも貢献
高精度で信頼性の高い測位信号で、さまざまな産業のデジタル化が加速すると期待され、安全保障にも一役買うことになる。
三菱電機などが1日公開した準天頂衛星「みちびき7号機」が予定通りに来年2月に打ち上げられると、他国に依存しない衛星測位が可能な7機体制が完成する。高精度で信頼性の高い測位信号で、さまざまな産業のデジタル化が加速すると期待され、安全保障にも一役買うことになる。高市早苗政権は宇宙産業を重点投資開発の対象に掲げており、官民を挙げた宇宙開発も本格化しそうだ。
18年に4機体制、高精度測位を実現
みちびきはアジア・オセアニアに特化した国の衛星測位システムで、日本版GPS(衛星利用測位システム)とも呼ばれる。2010年に初号機を打ち上げると、18年には4機体制による高精度測位を実現した。
政府は、日本上空にあるみちびきだけで測位が可能になる7機体制を目指していたが、今年度中に確立することになる。カバー範囲が広がり、みちびきを利用するサービスをアジア・オセアニア地域にも展開できる。
誤差数センチ……農業から災害復旧まで
従来のGPSによる測位は約10メートルの誤差が生じるが、みちびきでは数センチ単位の誤差になり、精度が格段に上がる。みちびきの信号はGPSと同様に、スマートフォンでも受信できるため、農機の自動運転や災害復旧、インフラ点検、物流の効率化など、幅広い活用が期待されている。
一方、衛星信号になりすまして地上の機器を乗っ取る電波妨害などのサイバー攻撃の懸念は高まるばかりで、みちびきの信頼性の高い信号には安全保障上の役割も求められている。
バックアップ可能な「11機」目指す
政府は衛星に不具合が生じてもバックアップが可能になる11機体制の確立を急ぐ。三菱電機は、打ち上げ費用を抑制するため、1台のロケットで2機打ち上げられる薄型化した新型機の開発を進めており、32年度の実用化を目指している。(高木克聡)
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