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「迷ったら前へ!」ホワイトハウスにも突撃するCISO - NTT横浜氏セキュリティリーダーの視座(3/3 ページ)

 通産省、マッキンゼーを経てNTTへ。異色の経歴を持つNTT グループCISO 横浜信一氏は、「経営視点」で独自のリーダーシップを発揮する。ホワイトハウス訪問を初年度の目標に置くなどのユニークな取り組みと、周囲に安心感を与える人柄で組織変革を実現している。

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マッキンゼー時代に学んだ「No」に立ち向かう姿勢

――そうした行動力の源泉はどこにあるのでしょうか。

横浜氏: マッキンゼー時代の経験が影響しているかもしれません。当時、まだ日本にPE(Private Equity:未公開株式投資)という概念がなかった頃、米国のあるPEファンドの日本参入を支援しました。そのクライアントの代表が来日し、日本の大手企業や銀行、商社を十数社訪問したのですが、その行く先々で彼のアイデアは「日本では無理だ」と否定されました。

横浜信一
Photo by 山田井ユウキ

 私はクライアントに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになりましたが、彼は全てのミーティングを終えて帰国する際、「非常に役に立った」と言ったのです。「この国では新しいアイデアに対し、頭の良い人たちが1人当たり30回も『No』と言うことが分かった。その『No』を覆していくことこそが私の人生であり、そこにチャンスがある」と。

 「みんなができないと言うことを実現することに価値がある」という信条なのでしょうが、ここまで否定されても挫けずに立ち向かえることに「こういう人が世の中を変えていくんだ」と心の震えるような感動を覚えました。実際に彼はその後日本市場への参入を成功させています。

 先ほど「迷ったら前へ進む」と申し上げましたが、この経験は困難な課題に向き合う際の私の原動力になっている気がします。

「セキュリティ・バイ・オール」と文化の醸成

――現在、組織運営において課題に感じていることは何ですか。

横浜氏: 「セキュリティ・バイ・オール(Security by All)」の実現です。CISOやセキュリティ部門だけでなく、第一線の社員一人一人がセキュリティの重要性を理解し、自分事として捉えてもらうこと。これが永遠の課題であり、最も重要なテーマです。

 とはいえ、セキュリティ教育というのは、得てして退屈で堅苦しいものです。そこで私は、社内向けの研修ビデオに、あえてユーモラスな演出を取り入れています。

 例えば、研修ビデオの冒頭、私が話す約3分のミニクリップがあるのですが、そこで披露しているのは、ダチョウ倶楽部さんの「くるりんぱ」です。世界最大級のセキュリティイベント「Black Hat USA」でもらった光る帽子を被って登場し、「今年は成功するでしょうか?」などと言いながら、少しおちゃらけた姿を見せています。

――トップ自らが体を張って空気を作っているのですね。

横浜氏: 「一皮むける」ことが大事だと思っています(笑)

 また、セキュリティ人材を「日向(ひなた)」へ出すことも意識しています。これまでセキュリティは「守って当たり前、何かあれば怒られる」という減点方式で見られがちでした。私は、セキュリティに携わる人たちが誇りを持てるようにしたいので、セキュリティ人材に元気を出してもらえるような取組みも色々と実施中です。

横浜信一
Photo by 山田井ユウキ

 例えば、社内CTF(Capture The Flag)コンテストの入賞者に、副賞として「横浜のシャドーイング権」をプレゼントすることを考えています。私の出席する重要な会議に同席してもらい、普段は見られない経営の意思決定の現場を肌で感じてもらう。お金のかからない「エコ贔屓」ですが(笑)、こうした取り組みを通じて、「会社はセキュリティを重視しているんだ」というメッセージを伝え続けたいと思います。

これからのセキュリティ人材へのメッセージ

――最後に、セキュリティ業界で働く人々へメッセージをお願いします。

横浜氏: まずは「おめでとうございます」と言いたいですね(笑)。セキュリティの需要は今後もなくなることはなく、一生食べていける仕事であることは間違いありません。

 しかし、それ以上に重要なのは、情報技術がこれだけ社会のインフラになっている今日、我々が社会インフラを守るという崇高なミッションを担っているという点です。経営者の中でセキュリティを深く理解している人はまだ日本に数えるほどしかいません。だからこそ、技術と経営をつなぐ「二刀流」の視点を持つ人材が必要です。

 私自身、「Only Yokohama Can Do」、すなわち唯一無二の存在でありたいと常に思っています。皆さんも、自分なりの強みを活かし、組織の中で代わりの利かない存在になっていただきたい。そして、セキュリティという仕事を、もっと明るく、魅力的な「日向の仕事」にしていきましょう。

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