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P&G×Facebook出身の地方発ベビーブランドCEOが語る成長の本質。一般社員からスタートし、主力EC売上2倍へ(1/2 ページ)

P&GとFacebookで得た、戦略以上に顧客に寄り添い誠実であることが、事業の基盤になるということ。それをECの現場でどう形にしてきたのか。

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P&GとFacebookで磨いた「視点」

 P&G、Facebook、そして現在代表を務める信州発D2Cベビーブランド・ケラッタでの仕事は、一見別々に見えるかもしれませんが、私の中では一本の経験としてつながっています。

 私は2002年にP&Gでキャリアを始め、シンガポールで「SK-2」などのグローバル広報を担当しました。2016年にはFacebook Japan(現Meta)で広報統括執行役員を務め、2022年にケラッタの代表取締役に就任しました。

 本稿で伝えたいのは、P&GとFacebookで得た、戦略以上に顧客に寄り添い誠実であることが、事業の基盤になるという点です。その考えをECの現場でどう形にしてきたか、あわせて紹介します。

P&Gで得たのは戦略よりお客様に向き合う姿勢

 P&Gと聞くと、精緻な戦略や高度なマーケティングを想像するかもしれません。しかし「Consumer is boss(生活者こそがボス)」という行動指針があり、“お客様の気持ちに、誠実に向き合うこと”がすべての基点という、とてもシンプルで人間的な姿勢を柱としています。

 新製品の企画や改良は全て「お客様のインサイト」が起点です。実際、お客様のライフスタイルや行動を観察するという質的な「Home visit」(ご家庭への訪問)から、量的なアンケート調査まで、常にお客様の本質や変わりゆくニーズを分析し理解を深めていきます。

 また、グローバル広報を任され、30歳でシンガポールに赴任した時は、SK-2やパンテーンを担当し、世界中のお客様を含む外部のステークホルダーに、どういうブランドでありたいか、どういうブランドだと認識されたいかを描く「ビジョニング」に取り組みました。英語に苦戦しながらも、各国の広報チームが一緒に動いてくれた理由は、私の語学力ではなく、 お客様に向き合う姿勢や、ブランドの力でお客様の役に立ちたいという想いがメンバーにも伝わったからだと今では思っています。

 誠実に寄り添う姿勢こそが人や事業を動かす──。この価値観は、ケラッタのブランドミッションである「あなたとその家族に寄り添うパートナー」にもつながっています。

Facebookで学んだ光と影、多面的に物事を見る視点

 Facebookへ転職した理由は、テクノロジーの力で社会課題に向き合いたいと強く思ったからです。シンガポールから日本に戻った時期、いじめやDVなど痛ましいニュースが続いており、コミュニティやプラットフォームを活用して何かできるのではないかと感じました。

 Facebookでは、企業広報、ブランド広報、マネタイズ広報、自治体との連携など幅広い領域を担当しましたが、その中で改めて実感したのは、テクノロジーには常に「光と影」があるということです。自由で迅速な情報発信や利便性といった、計り知れないメリットがある一方、個人情報の適切な取り扱いなど、企業にも個人にも高い責任が求められるという両面が存在します。

 こうした「他の側面」を理解するために、Google、Amazon、Twitterなど競合のプラットフォームとも積極的に課題を共有し合い、協働した経験はとても大きなものでした。企業の違いを超えて学び合うことで、物事を一方向ではなく、多面的に捉える視点がいかに重要かを深く理解しました。

 この“多面的に見つめる視点”は、テクノロジーだけではなく、事業や組織を俯瞰することにもつながり今のケラッタの経営判断に深く根づいています。

ケラッタ代表就任前は一般社員として現場で修行。就任後2年で主力のECモールで売上が倍に

 ケラッタの代表就任前、私はあえて一般社員として現場に入り、メンバーと同じ目線で仕事をしていました。ECで成長してきたビジネスを現場で学び直し、レビュー対応や商品ページ改善、物流調整などを通じてお客様の声に触れ続けることで、「寄り添う」という原点を振り返るためです。

 代表就任後は、寄り添いを継続するには公平で明確な判断基準を持つ組織が必要だと考え、売上・利益・在庫の可視化、物流導線の整備、人事評価制度の再設計など、まず“土台づくり”を進めました。そのうえで、日常のVOC(お客様の声)を中心に据えた運用を徹底し、主力ECモールでの成長につなげてきました。

 このVOCを中心に据えたECビジネスを加速させ、就任後2年間で主力のECモールでの売上倍を実現しました。また、2025年には、Amazon・楽天市場・Yahoo!ショッピングの3大ECモール全てで年間アワード受賞を達成することができました。ECビジネスにおける成長の理由は、お客様に寄り添うという本質の強化と、それを現場で再現するフレームワークの実践、この2つにあります。

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