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ネット通販「TikTok Shop」にクリエイター20万人 成果報酬型で成長狙う

動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は3日、昨年6月末に提供開始したEコマース機能「TikTok Shop」で商品を販売するクリエイターの数が20万人を超えたと発表した。販売事業者数も5万に上り、利用者数は初月の20倍まで増え、先にサービスを開始した17カ国の同時期と比較しても、順調に成長している。一方で、日本市場は割の良い企業のPR案件に慣れている動画投稿者が多く、成果報酬型(アフィリエイト)のネット通販の魅力の訴求などが課題となっている。

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産経新聞

 動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は、昨年6月末に提供を始めたEコマース機能「TikTok Shop」で商品を販売するクリエイターの数が20万人を超えたと発表した。販売事業者も約5万に上り、利用者数は初月の20倍まで増えた。先にサービスを開始した17カ国と比較しても、順調に成長しているという。一方、日本の動画コンテンツ市場では、高収入が得られる企業のPR案件に慣れている投稿者が多く、成果報酬型(アフィリエイト)のネット通販の訴求などが課題になっている。

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TikTok Shopの概況について説明するTikTok Shop Japanの邱開洲執行役員=2月3日、東京都渋谷区(西山諒撮影)

日本の人件費の安さも成長に寄与

 TikTok Shopは、TikTokのアプリ内で商品の発見から購入までをシームレスに行えるEコマース機能。米国では昨年11月のブラックフライデーで5億ドル(約750億円)を売り上げるなど、流通額が年々増えている。TikTokは日本での流通総額を明らかにしていないが、同社の資料によると昨年12月の売り上げはサービス開始直後の7月と比べ5倍以上に増えている。

 TikTok Shop Japanは2月3日、サービス提供開始から半年を記念したイベントを開催。ジェネラルマネージャーの邱開洲(きゅう・かいしゅう)執行役員は、「日本市場におけるTikTok Shopは、非常に順調だ。2025年にサービスを開始した国の中では、市場シェアの浸透率や商品数、セラー(販売事業者)数などを比べると高い方になっている」と説明した。

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TikTok Shopのサービス開始からの売上推移を示す発表資料

 TikTok Shop Japanでは、ショート動画やライブ配信経由の売り上げが全体の7割を占めている。中でも日本市場は、ライブ配信経由の売り上げ比率が最も高いのが特徴だ。邱氏は「従来の検索型のネット通販とは異なる購買体験『ディスカバリー(発見型)Eコマース』というコンセプトを具現化した」と述べた。

 日本での高成長の背景には、投げ銭を含めた生配信文化の成熟に加えて、日本の人件費の安さもあるという。「欧米と比べ、日本は圧倒的に人件費が安い。売り手からすると、経済性、ROI(投資利益率)の観点で、(ライブ配信での販売が)ビジネスとして成立しやすい」と、邱氏は分析する。

「お客さまとの距離が近づいた」

 TikTok Shopでは、動画クリエイターに加えて、企業も商品を販売している。サービス開始時から参画している花王グループ、KATEのブランドマネージャー、岩田有弘氏は「東京・渋谷のグローバル旗艦店のスタッフが、朝と夜にライブ配信を行っており、実際に試したいと海外からも多くの方が来店している。オンラインの体験がオフラインの来店につながる流れは想像以上だ。(ライブ配信は)メイク商品の効果が伝わりやすい」と話す。

 KATEのTikTok公式アカウントのフォロワー数は、ライブ配信を開始した後、2倍に増えたという。岩田氏は、「お客さまとの距離が近づいたと感じた。ライブ配信をやっていると、いろんな声が入る。そのコメントを商品開発にも生かしている」と話す。

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TikTok Shopを活用するKATEブランドマネージャーの岩田有弘氏(右)ら企業の担当者

 KATEの商品は、TikTok Shop上で動画クリエイターによっても販売され、その売り上げは公式アカウントに迫っているという。KATEでは、販売が好調なタイなど他国のTikTok Shopとの連携も模索している。

クリエイターのトレーニングに注力

 一方、邱氏は「日本では企業のマーケティング案件に慣れているクリエイターが多い」と指摘する。マーケティング案件の報酬は1件で数百万円に上ることもあるというが、TikTok Shopにおける報酬は販売額に基づく成果報酬型だ。邸氏は「どうやってもう儲けるかという啓蒙活動が不足していた」と率直に打ち明ける。

 このため商品を販売するクリエイターのトレーニングに力を入れ、AIを駆使した改善提案や、質問に答えるLINEグループの開設・運用などにも取り組んでいるという。

 企業にとっては、人手不足が深刻化する中でTikTok Shopのような新たな販売経路への参入は難易度が高く、「煩雑な業務が増える」と敬遠される傾向もあるという。ライブコマース市場への参入促進も、成長のカギを握っている。(西山諒)

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