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勇者に最適な武器を! 世界に羽ばたく日本企業を生み出す - Cloudbase 岩佐氏セキュリティ・パートナーの流儀(1/3 ページ)

過酷な環境で戦うセキュリティ担当者を「勇者」と称え、自らは最適な装備を提供する「武器屋」と位置付ける代表取締役CEOの岩佐晃也氏。「日本企業が世界を変える時代をつくる」と熱く語る若き起業家の顧客に寄り添うビジネスの流儀に迫る。

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 ITインフラの急速なクラウド化やAIの普及に伴い、企業におけるサイバーセキュリティの重要性はかつてなく高まっている。しかし、現場の担当者は高度化する脅威と複雑なツールの間で日々苦闘しているのが実情だ。

 そんな中、「日本の大企業がテクノロジーを武器に再び世界で勝つための支援をしたい」と熱く語る若き起業家がいる。自身の原体験からセキュリティの世界へ足を踏み入れ、顧客に寄り添う「武器屋」としてのスタンスを貫くCloudbase 岩佐氏だ。同氏の足跡と、セキュリティビジネスの流儀に迫った。



岩佐晃也(IWASA Koya)

――Cloudbase 代表取締役CEO

岩佐晃也

 京都大学でコンピューターサイエンスを専攻し、在学中の大学4年時に出資を受けて起業する。ARアプリやゲーム、セキュリティ教材など複数の事業開発を経て、クラウドセキュリティ設定管理(CSPM/CNAPP)の領域に特化した事業を展開。「日本企業が世界を変える時代をつくる」をミッションに掲げる。



チートユーザーに驚き、バイナリをいじった10歳の原体験

 岩佐氏とコンピューターの出会いは早かった。システムエンジニアであった父親の影響もあり、幼い頃から自宅にはパソコンや100本近いゲームソフトがあった。

 さまざまなゲームをやり尽くす中で、10歳の少年はゲームの世界で「レアアイテム」を大量に持つプレイヤーの存在に気づく。「どうやったらあんなアイテムが手に入るのか」。その純粋な好奇心が、彼をプログラミングの深淵へと導いた。

 「ネットで情報を探すうちに、機械語、いわゆるバイナリやアセンブリ言語の世界をいじるっているらしいと知ったんです。見よう見まねで変更したら、敵の攻撃が跳ね返ったりして。悪いことだというのはなんとなくわかっていたので試す程度でしたが、これがきっかけで、ITの世界にのめり込んでいきました」

 最初はネット上のコマンドをコピーするだけだったが、次第に「レジスタとは何か」「CPUの仕組みはどうなっているのか」と、コンピューターの根本的な仕組みへと興味は広がっていった。

 少年のいたずら心から始まった体験だったが、これが岩佐氏にとって「ソフトウェアが魔法のように新しい価値を生み出す」という原体験となった。「この機能に触れた人はどんな表情をするだろうか、どんな気持ちになるだろうかと想像しながら作るのが、今でも楽しくて仕方がないんです」と岩佐氏は純真な笑顔で語る。

海外製ツールへの悔しさから大学4年で起業へ

 ITへの強い興味を抱いたまま、岩佐氏は京都大学へ進学し、コンピューターサイエンスを本格的に学ぶ。しかし、そこである「悔しさ」に直面することになる。

岩佐晃也

 「昔は、日本人が作ったテキストエディタがデファクトスタンダードとして使われていた時代もありました。しかし、私が大学で学ぶ頃には、開発ツールから日常的にスマートフォンで使うアプリに至るまで、そのほとんどが海外製に置き換わっていたんです」

 この現状を目の当たりにし、「なぜ日本から世界で使われる偉大なサービスが生まれないのか」という強烈な問題意識が芽生えた。「自分たちの手で、日本から世界を変えるようなサービスを生み出したい」。その漠然とした思いは、やがて起業という形となって結実する。

 大学4年の夏、インターン先での出会いをきっかけに、あるベンチャーキャピタルの担当者から「明日から東京に来るなら、1000万円出資する」という誘いを受けた。「行きます」と即答した岩佐氏は、そのまま大学4年の10月に上京し、最初の会社を立ち上げた。

 起業直後は、学生起業家たちが集まるシェアハウスに住み込みながら、自らエンジニアとして次々と新しいサービスを開発した。AR(拡張現実)を活用した広告アプリや、コロナ禍のオンライン飲み会に適したビデオ会議用人狼ゲームアプリなど、トレンドを捉えたプロダクトを短期間で世に送り出した。

 しかし、利用者は集まるものの、投資家からは「で、どうやってビジネスにするの?」と問われ、言葉に詰まる日々が続いた。「エンジニアとしての開発力やアイデアはあっても、事業家としてのセンスや経験が決定的に不足していたんです」と当時を振り返る。

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