「Dr.コトー」存続の切り札はドローン 病院から離島へ十数分のフライトで医薬品を輸送
過疎や高齢化を背景に人口減少が続く全国の中山間地域や離島地域で、物流網の維持に向けてドローンを使った日用品などの輸送実験が行われている。柑橘(かんきつ)類の栽培が盛んな中島や興居(ごご)島など9つの有人島を含む松山市の忽那(くつな)諸島では2月、地域医療の維持を目指してドローンで医薬品を輸送する検討フライトが行われた。現在は医療船による巡回診療が行われているが、医療従事者の確保が難しくなる中、ドローン輸送による業務効率化に期待が集まっている。
過疎や高齢化を背景に人口減少が続く全国の中山間地域や離島地域で、物流網の維持に向けてドローンを使った日用品などの輸送実験が行われている。柑橘(かんきつ)類の栽培が盛んな中島や興居(ごご)島など9つの有人島を含む松山市の忽那(くつな)諸島では2月、地域医療の維持を目指してドローンで医薬品を輸送する検討フライトが行われた。現在は医療船による巡回診療が行われているが、医療従事者の確保が難しくなる中、ドローン輸送による業務効率化に期待が集まっている。
検討フライトを実施したのは、伊予銀行などが参加する官民連携の愛媛スマートシティ推進協議会。2月5日に約2.5メートル四方、重量約20キロの国産物流専用ドローンを使い、諸島最大の中島にある「なかじま中央病院」から怒和(ぬわ)島と睦月(むづき)島の2島にそれぞれ、約2.5キロの偽薬を輸送した。
ドローンは一定の条件で地上の補助者などをおかずに飛ばせる「レベル3.5」で飛行。運航を担当した「NEXT DELIVERY」の山梨県の本社からの遠隔操作で、怒和島までの往復約13キロを約28分、睦月島までの往復11キロを約26分かけて飛び、偽薬を切り離して同病院に帰還した。
代替手段の確立急務
医薬品の島間輸送は船便しか手段がないのが現状。航路の減便や悪天候による運休、災害による物流網まひのリスクを抱える中、食品などの生活必需品、災害時の救援物資などの配送を含めて代替となる輸送手段の確立が急務となっている。
松山市の統計などによると、1960年代に2万5千人を超えていた忽那諸島の人口は現在は3千人を割り込み、高齢化率は65%を超え、通院が難しい高齢者が多い。
忽那諸島に住む島民への医療サービスは、なかじま中央病院の医師や看護婦らが津和地(つわじ)島、怒和島、野忽那(のぐつな)島、二神(ふたがみ)島、睦月島の各島にある無人診療所を巡回する方式で提供。平日に1日2カ所ずつ、医師と看護師、薬剤師、事務職員の4人1組で市のチャーター医療船で行き来する。医薬品は4人がそれぞれ約20キロの荷物を運搬、処方箋に従って現場で調剤する。
医療従事者の確保困難
なかじま中央病院を運営する医療法人友朋会の栗林亮理事長によると、現在は一部でオンライン診療を導入しているが、「ただでさえ医療従事者の確保が難しいうえ、島への通い勤務、重い荷物を運んでの巡回診療があるとなれば、なおさら集まらない」という。
国内では長崎県の五島列島で民間企業によるドローンでの医薬品配送が行われている。
忽那諸島でもドローンによる医薬品配送が実現できれば現地で調剤を待つ時間がなくなり、「1日3〜4カ所の無人診療所を巡回できる可能性がある。薬剤師を病院にとどめておけるだけでも病院全体の業務効率化につながる」と指摘。「巡回診療からの撤退は絶対に避けないと。来年や再来年、できる限り早く実現してほしい」と話す。
ドローンによる医薬品配送とオンライン診療との組み合わせは、地域医療維持の切り札となり得る。
愛媛スマートシティ推進協議会は「医薬品以外の生活必需品や食品などのドローンを活用した輸送ニーズを調査し、医薬品を含めたドローン配送の実装に向けて実証を重ねていく」としている。(和田基宏)
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