アクセルスペースが次世代衛星を7機同時打ち上げへ 7月以降、ニコン製の望遠鏡を搭載
宇宙ベンチャーのアクセルスペース(東京都中央区)は19日、ニコン製の望遠鏡を搭載した次世代地球観測衛星「GRUS-3(グルーススリー)」を7月以降に、7機同時に打ち上げると発表した。撮影頻度や範囲を大幅に向上させ、画像もより鮮明になる。国産の人工衛星として、国防にも活用される予定だ。
宇宙ベンチャーのアクセルスペース(東京都中央区)は19日、ニコン製の望遠鏡を搭載した次世代地球観測衛星「GRUS-3(グルーススリー)」を7月以降に、7機同時に打ち上げると発表した。撮影頻度や範囲を大幅に向上させ、画像もより鮮明になる。国産の人工衛星として、国防にも活用される予定だ。
新たな社会インフラ
発表会でアクセルスペースの中村友哉CEO(最高経営責任者)は、「高頻度な中分解能(の衛星画像)という強みを生かしたい。新たな社会インフラとして、地球規模の情報収集や企業の意思決定を支えたい」と述べた。
望遠鏡を開発したニコンの大村泰弘社長も登壇し、「1971年にアポロ15号に搭載するカメラがNASAに採用されて以来、宇宙から様子を伝えてきた。提供した望遠鏡は、これまでの知見を生かし、高い光学性能を誇る」とアピールした。
アクセルスペースは小型衛星による宇宙ビジネス企業として2008年に創業。現在、地上分解能2.5メートルの光学観測衛星「GRUS-1(グルースワン)」5機による地球観測プラットフォーム「AxelGlobe(アクセルグローブ)」を展開し、世界30カ国以上で利用されている。
日本のほぼ全域を毎日撮像
次世代衛星GRUS-3の打ち上げで7機による「衛星コンステレーション」(観測網)が実現すれば、北緯25度以上の地域において、同一地点の観測頻度が従来の2、3日に1回から1日1回に向上する。1日に最大230万平方キロを観測し、日本の国土のほぼ全域を毎日撮像できる。
また、次世代衛星の分解能は2.2メートルに向上。新しいイメージセンサーなどにより、分解能の差以上に、より精細な画像を撮影できるようになる。すでに国内外の25社以上と画像購入に関する意向表明書(LOI)を締結しているという。農業、防災といった既存の利用分野に加え、環境やサステナビリティといった新たな市場への展開を狙う。
「防衛は重要なニーズのひとつ」
アクセルスペースは今年2月に、防衛省の「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の受注を発表。日本の反撃能力(敵基地攻撃能力)に必要な画像を取得するための事業で、GRUS-3も活用される見込みだ。
中村CEOは「(打ち上げ後に)サービスが軌道に乗れば、防衛省の事業に貢献できる。防衛は重要なニーズのひとつ」と説明。米国の衛星企業が中東周辺の高分解能の画像提供に制限をかける中、「(影響を受けない)中分解能かつ国産である点を生かしてサービスを展開していきたい」と話した。
2023年にロケットの打ち上げ失敗により失った国産の先進光学衛星「だいち3号」を補完する役割も期待される。だいち同様に、コースタルブルーという沿岸域の監視に向いた波長帯を捉えるセンサーを搭載する。
GRUS-3は今年7月以降、米西部カリフォルニア州のバンデンバーグ宇宙軍基地から米スペースXの「ファルコン9」で打ち上げ、軌道投入する予定だ。7機の衛星はすでに米国に輸送され、打ち上げを待っている。(西山諒)
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