「手応え」を求め、地方オーナー企業へ エグゼクティブ人材が企業変革の起爆剤となる:今、エグゼクティブが「地方」で描くキャリア戦略(1/2 ページ)
地方オーナー企業では今、組織変革を推進する右腕として、首都圏のエグゼクティブ人材への期待が高まっている。そこには、事業承継や組織変革に悩む後継者世代の存在がある。実際の転職事例を交えつつ、地方オーナー企業がエグゼクティブを求める背景に迫る。
前回の記事では、エグゼクティブの地方転職が増加する背景として、事業承継・DX推進・上場対応といった地方企業側の変化と、役職定年や家族との暮らし方を見直すエグゼクティブ側の変化の二つの要因があると解説しました。
また、地方転職は妥協ではなく、首都圏で培った経験やスキルをより広く発揮するための戦略的な選択肢になりつつある、という点にも触れました。
では実際に、地方企業ではどのような役割を期待してエグゼクティブを迎え入れているのでしょうか。
地方オーナー企業では、事業承継や組織変革を進める「経営者の右腕」として、エグゼクティブ人材のニーズが高まっています。その役割は単なる管理職ではなく、経営者と価値観を共有しつつ、現場との橋渡し役となって組織変革を実現することが求められます。
第2回となる本記事では、地方オーナー企業がエグゼクティブに期待する役割や、実際の転職事例、地方で活躍するために必要な視点について掘り下げます。
地方オーナー企業は、変革の右腕となるエグゼクティブを求めている
地方オーナー企業でエグゼクティブ人材へのニーズが高まっている背景には、事業承継に関する課題があります。
地方では、50年や100年続くオーナー企業が数多く存在し、創業者からのバトンを受け継ぐ2代目・3代目の若手社長が奮闘しています。これらの企業では、「会社をいかに次世代へつなぐか」が大きなテーマとなります。
地方オーナー企業の後継者世代の多くは、首都圏の大学を卒業し、大手や外資系企業などで経験を積んだのちにUターンします。地方に戻った後継者がまず直面するのは、首都圏の企業との環境格差です。
大手企業では当たり前だった仕事のスピード感や万全な組織体制が、地方企業では十分に整っていない場合もあります。後継者から見て「あれもこれも不十分だ」という考えになるのは、至極当然なことです。
そのような環境に対して「変えなければ」と危機感を持ちつつも、現場には長年培われた風土があり、一気に変革を進めることは容易ではありません。また、地方には組織変革のノウハウを持つ人材が多くないことや、変革が急務な中で社内人材を登用・育成するのに時間的な猶予がない側面もあります。
そうした状況の中で求められるのが、組織運営の豊富な経験を持つエグゼクティブ人材であり、変革を共に進める右腕としての役割が期待されているのです。
企業変革を加速させるエグゼクティブの「翻訳者」としての役割
地方オーナー企業の後継者は、先代や先々代から続く複雑化した組織構造を目にして、「会社がなかなか変わらない」という葛藤を抱えがちです。
過去の組織構造は会社を支えてきた土台でもあるため、必ずしもすべてを変える必要はありません。しかし、組織を拡大し新たな事業を進めるうえでは、既存の枠組みだけでは限界が生じる場合もあります。
そこで求められるのが、外部の視点と専門知識を併せ持つエグゼクティブ人材です。
組織運営のノウハウを持つエグゼクティブは、「組織が拡大する中でどのような問題が発生し、どんな不満が現場に生まれやすいのか」を経験として理解しています。その見通しをもとに、変革を段階的に進められる点が大きな強みです。
また、経営者と現場の社員との間に立つ「翻訳者」としての役割も重要です。経営者の考えを現場目線に落とし込み、「なぜこの改革が必要なのか」を丁寧に伝える橋渡し役として、エグゼクティブ人材が機能するケースは非常に多く見られます。
地方オーナー企業とのマッチングで重要なのは「価値観の一致」
地方オーナー企業への転職では、スキルや経験以上に重要視される要素があります。それは「オーナー(経営者)と価値観が合うかどうか」です。
地方オーナー企業では、株式の所有と経営が一体化しており、組織運営に経営者の考え方が強く反映されます。そのため、エグゼクティブが地方オーナー企業で存分に力を発揮するには、「会社としてどのような未来を目指すのか」「何を大切にして組織運営を行うのか」といったビジョン・方向性の一致が非常に重要です。
例えば、人的資本経営を重視する企業であれば「社員をどのように守り、どう育てたいのか」という価値観の共有が求められます。反対に、売り上げをはじめとする数字や効率を最優先する経営者もいます。
どちらが正しいという話ではなく、エグゼクティブ自身の職業観や人生観と合うかどうかが大切であり、それが成果にも大きく関わる要因となります。
そのため、エグゼクティブ採用の現場では、経営者は面接以外にも腹を割って話せる場を設ける例が多くあります。企業側も「この人と一緒に長くやっていけるのか」を慎重に見極めているのです。
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