高島屋・村田善郎社長 挑戦続けるアバンギャルドな百貨店 ベトナムや新型SCに重点投資 My Vision
高島屋の村田善郎社長は24日までに産経新聞のインタビューに応じた。創業200周年を迎える2032年2月期に事業利益を750億〜800億円(26年2月期は596億円)へ引き上げる目標に向け、次世代型SC(ショッピングセンター)、金融事業、ベトナム事業の3分野に重点投資すると表明した。ベトナムに小型店出店の意欲を見せ、村田氏は「アバンギャルド(前衛的)な百貨店」として挑戦を続けるとも述べた。主な一問一答は次の通り。(柳原一哉)
高島屋の村田善郎社長は24日までに産経新聞のインタビューに応じた。創業200周年を迎える2032年2月期に事業利益を750億〜800億円(26年2月期は596億円)へ引き上げる目標に向け、次世代型SC(ショッピングセンター)、金融事業、ベトナム事業の3分野に重点投資すると表明した。ベトナムに小型店出店の意欲を見せ、村田氏は「アバンギャルド(前衛的)な百貨店」として挑戦を続けるとも述べた。主な一問一答は次の通り。
−−足元の国内事業は
「富裕層向け外商の伸びが高く、中堅層も堅調だ。(円安を背景に)インバウンド(訪日客)はラグジュアリー(高額商品)や宝飾関係が売れている。ただ、地政学的なリスクに伴い円高に振れる危うさはある」
−−訪日自粛をしている中国は
「団体客はゼロに近いが、個人客の単価が上がっている。シンガポール、タイ、ベトナムの高島屋の認知度が高く、訪日する上位顧客には通訳を付けたり免税手続きを優先したりするサービスを提供している。今秋、ホテルでの催事にタイのVIP顧客を招待する計画もある」
タマタカ次世代SCモデルに
−−次世代型SCを成長ドライバーと位置付けた
「27年に改装グランドオープンする玉川高島屋S.C.が今後の次世代型SCのモデルになる。要素は3つ。従来の百貨店にはない、例えば高級フードコートといったコンテンツを導入。街全体のインフラとしての機能も充実させる。核である百貨店とSC専門店とをシームレスに(継ぎ目なく)つなぎシナジー(相乗効果)を生む」
−−ベトナム事業の32年2月期の事業利益は26年2月期比約2.7倍を見込む
「ベトナム市場は有望だ。小売り、商業開発、住宅分譲、学校事業などを手掛けるが、中でも小売りは高島屋が2桁で成長している。高島屋が入るサイゴンセンター(ホーチミン)のロケーションは間違いなくシンガポールの(世界有数のショッピングゾーン)オーチャード・ロードのようになれる。30年度以降に増床する」
−−ハノイでも27年に高島屋を核とした「Hanoi Takashimaya S.C.」が開業する
「ハノイには巨大ショッピングモールがあるが、われわれは規模で対抗しない。ホーチミンでの経験で日系の商品の売れ行きがつかめてきているので、そのいいところをハノイでも展開すれば十分勝機がある」
−−地方への出店は
「ダナンやハイフォンなど地方へ小型店を出すことはあり得る。ベトナム資本から『一緒にやりませんか』と声がかかっている」
−−ベトナムでは学校不動産・運営事業も手掛ける
「とにかく国民が教育熱心だ。景気が上向くとどんどん教育にお金を使う国なので、非常に伸びしろがある」
労組委員長時代に確信
−−労組委員長だった際にベトナムを視察した
「労組の立場で会社の投資をチェックするため出店前のベトナムを訪ねた。その頃からこの国は相当化ける(成長する)との確信があった」
−−そうした経験が社長業にも生きている
「労組委員長の際にビジョンなき忍耐は苦痛、将来展望なき忍耐は苦痛だと交渉の場で当時の社長に申し上げ、労働条件の向上に向けビジョンを提示するよう言い続けてきた。(自身が)社長になってビジョンを出すべきだと考え、31年に目指す姿をまとめた」
−−創業200周年は節目となる
「海外投資家からは『(高島屋は)百貨店という生き物ではない』といわれるほど挑戦的でアバンギャルドな百貨店だ。バラの包装紙は変えられないが、200周年を機に新しいことは考えたい」
(柳原一哉)
プロフィル
むらた・よしお 慶応大卒。1985年高島屋入社。2007年労組委員長。11年柏店店長。12年一橋大大学院修士課程修了。15年常務取締役。19年3月社長に就任。東京都出身。64歳。
編集後記
1831(天保2)年、京都の古着木綿商から始まった高島屋はまもなく創業200周年の節目を迎える老舗中の老舗だ。ともすれば現状維持に安住し、変革に背を向けてしまいがちな立場にあるといえるが、村田氏は「高島屋は百貨店としては後発に当たり、実は挑戦者の側だ」という。
挑戦者としてのDNAは、次世代型SCの開発や金融事業、海外進出など、従来の百貨店の枠にとらわれない構想を生んでいる。
村田氏自身、社業の傍らで一橋大大学院修士課程を修了するなど貪欲なチャレンジスピリットを持つ。「リタイア後は博士課程で学びたい」という村田氏。社とともに自身も挑み続ける姿勢からは守りに入る気配が一切感じられなかった。
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