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クラウドで返り咲く日本企業のものづくり能力世界で勝つ 強い日本企業の作り方(1/2 ページ)

クラウドコンピューティングによって、日本が誇るものづくりの力を音響や映像コンテンツに反映できる。これらのコンテンツを掲載したネット通販は、日本企業が未開拓だった海外市場を掘り起こす可能性を秘めている。

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商流を変える魅力的なコンテンツ

 クラウドコンピューティングの特質を象徴的に表現すれば、「インターネットを通じて、上質のコンテンツを低コストで世界中に発信できる仕組み」のことだ。そのコンテンツで注目すべきは、企業の販売プロモーションを目的とした音響、映像作品である。

 クラウドコンピューティング環境の整備によって、YouTubeやニコニコ動画など映像情報を流通させるインフラが充実した。一般の利用者によって魅力的な音響や映像のコンテンツがアップされている。

 購買意欲をそそられるのは、プロが作った迫力のあるコンテンツだ。こうしたコンテンツは商流を大きく変える。リアル店舗の物品販売からネットワークを介した販売への変化だ。物流ネットワークが整備されてきたこともあり、日本企業には新たなチャンスが巡ってきている。

リアル店舗からネット通販へ

 ファイル容量の大きな音響、映像コンテンツを蓄積する役割は、巨大なデータセンターが担っていた。だがクラウドコンピューティングの活用により、自社でデータセンターを持たずに、データの容量を機動的に拡大できる。クラウドコンピューティングの登場は、これまでの不可能を可能にする仕組みをもたらしたのである。

 そのインフラ上に、感性豊かな日本企業が発信するコンテンツが載る。コンテンツの威力が発揮される時代が来ているのだ。グローバル物流の整備とも相まって、国内企業にはB2Cの巨大なビジネスチャンスが到来するはずである。

 ここ数カ月の世界のビジネスの動きを見れば、リアル店舗からネット販売への移行プロセスは、ますますピッチを上げてきているという実感だ。衝撃的だったのは、2009年末までに、世界的な事務用品の小売りチェーンだったオフィスデポが全店舗を閉鎖したことだ。日本だけでなく、米国も含む全店舗を撤収した。

 代わりにオフィスデポが採用したのがネット通販である。つまり、全リアル店舗のビジネスをネットに置き換えたのである。ネット通販に移行したオフィスデポが成功するかは分からないが、商流の主戦場がネットワークに移行してしまったのは事実だ。

 情報/AV機器、家電製品などを販売してきた大手量販チェーンも、店舗をどんどん閉め始めている。オフィス用品が特別なわけではない。家電、情報機器などと並行して、衣服や食品関連の企業も撤収を進めている。物流ネットワークの整備と2人3脚であることを見込んでも、リアル店舗からネット通販への激浪のような変化が起こっている。

 変化の先はまだ見通せないくらいに前方遠く、雲の向こうにかすんでいる。しかも、物流は国際的に拡大して整備されつつある。国際的物流ネットワークが整備されて、短時間で注文の商品を配送できれば、ネット通販は市場を国内から海外へと大きく拡大する可能性を秘めている。

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