プリウスは本当に“不具合”なのか――クルマのソフトウェア化を考える:神尾寿の時事日想・特別編(1/4 ページ)
時代の寵児から一転、相次ぐトヨタ問題の槍玉に上がってしまった「プリウス」。しかし本当にブレーキの“不具合”だったのか。このリコール問題は、クルマのソフトウェア時代を考える上で大きな課題をはらんでいる。
トヨタ自動車は2月9日、ハイブリッドカー「プリウス」と「プリウス プラグインHV」、「SAI」およびレクサス「HS250h」の計4車種について、ABS制御コンピュータに不具合があるとして国土交通省にリコール(改修・無償修理)を届け出た。台数は4車種計22万3068台。またトヨタでは、海外でもすでに出荷済みプリウスなど対象車種の改修・無償修理を行う。
トヨタを取りまく不具合やリコールの問題は、日米の経済問題だけでなく、政治的な思惑もあり、波乱含みの様相になっている。これまで大きく取りあげられたものとしては、「フロアマット問題※」、「アクセルペダルの不良※※」、そしてプリウスの「ブレーキシステムの違和感」がある。またこれ以外にも、運輸省傘下の高速道路交通安全局 (NHTSA)では、エンジンの燃料弁を制御する電子制御スロットル・システム(ETCS)や、一部車種のパワーステアリングの不具合も問題視しているが、こちらは事実関係の検証がされておらず、トヨタ側も調査に協力しつつも、不具合の存在については否定している。
このようにトヨタ問題は相次いで起きており、すべての真相が分かったわけではない。また本稿を書いている時点でも、アメリカではトヨタを召喚した公聴会が開かれており、まさに正念場を迎えている。
だがこれらのリコール問題の中で、プリウスなどトヨタのハイブリッドカーにまつわるリコールについては、今のクルマが避けて通れない“ソフトウェア化”の課題を内包していると思う。そこで今回の時事日想では「プリウスのリコール」に注目。その内容と、今後の自動車業界に与える影響について考えてみたい。
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