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「三洋」の名称存続の動き 子会社が一時、MBO検討も

三洋電機の子会社で調理家電や車載機器の開発・製造を行う三洋電機コンシューマエレクトロニクスが、パナソニックと三洋の資本提携などが浮上した平成20年春から秋ごろ、経営陣による自社買収(MBO)を検討していたことが分かった。

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 三洋電機の子会社で調理家電や車載機器の開発・製造を行う三洋電機コンシューマエレクトロニクス(三洋CE、鳥取市)が、パナソニックと三洋の資本提携などが浮上した平成20年春から秋ごろ、経営陣による自社買収(MBO)を検討していたことが17日、分かった。

 資金調達などの面で断念したものの、ブランド存続のため三洋CEの独立を考えたとみられる。「SANYO」ブランドは一部地域や事業を除き「Panasonic」に統一される方向だが、三洋電機が筆頭株主の住宅メーカー、三洋ホームズ(大阪市中央区)も現社名で株式公開(上場)を検討するなど、「三洋」に対する関係者の愛着の深さがうかがえる。

 三洋CEは三洋が株式の9割以上を持ち、22年3月期の連結売上高1715億円。釜の圧力を変えて炊きむらをなくす炊飯器「おどり炊き」(14年発売)をヒットさせ、携帯型カーナビ「ゴリラ」では国内シェア約50%(21年度)を占める。

 経営危機に陥った三洋は18年、三井住友銀行などを引き受け先として3千億円の増資を行ったが、20年4月にパナソニックとの資本提携などが浮上。関係者によると、並行して三洋CEのMBOが検討されたものの、資金調達などが難しく最終的に断念、三洋は同年11月にパナソニック傘下入りを決断した。

 三洋CEは従業員約2000人で、製品出荷額は鳥取県の製造業全体の約2割を占めるため、平井伸治知事らが頻繁に三洋やパナソニックの本社を訪れ、「地域経済に与える影響が大きい」として存続を陳情。三洋の佐野精一郎社長は「生活家電などはできるだけ早くワンブランド化を進めるのがグループの利益」としており、パナソニックと重複する事業の多い三洋CEの扱いが焦点になっている。

 一方、三洋がオリックスと並ぶ筆頭株主として株式の約20%を保有する住宅メーカー、三洋ホームズの田中康典社長は9月下旬、報道関係者に対し「『三洋』はわれわれ固有の名称だと思っており、変更はしない」と表明。現社名で株式上場を検討していることを明らかにしている。

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