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事業を揺るがしかねない課題に全社で挑んだ老舗食品商社【前編】チームワークが経営を変えた!(1/2 ページ)

大阪に本社を構え、豆類を中心に数千品目の食品原料を扱う創業80年のかね善は、組織や業務を根底から見直す必要があるほどの大きな課題に直面していた……。

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 「会社が変わりました」──。岡田善靖常務とともに筆者たちを迎えたB支店長は、開口一番こう語った。チームビルディングのワークショップから半年が過ぎ、その後の状況を聞くため、かね善・東京支店に訪れたときのことだ。半年前のワークショップでファシリテーターを務めた筆者は、緊張からか少々こわもてに見えたその時の2人の顔つきをよく覚えているが、目の前の柔和な表情に、とまどったほどだった。

 2人は、「あの日」を境に、かね善が抱えていた重要な問題が、解決に向かって動き出したという。伝統的な食品業界の老舗企業が抱えてきた経営課題を、チームビルディングが、どのように解決しようとしているか。経営改革の現場を伝えていきたい。

社員同士の情報共有がなされない

大阪市にあるかね善本社
大阪市にあるかね善本社

 かね善は、黒豆をはじめとしたさまざまな食品原料を扱う創業80年の食品商社だ。得意分野である豆類以外にも、顧客から要望があれば独自に商材を見つけて、ビジネスに結び付けていく。その取扱い種目は5000品目にも及ぶ。独自の仕入ルートの維持と、きめ細かい顧客サービスによって、業界では最大手の1社である。大阪市東成区に本社を構え、東北、北陸、滋賀、九州、東京に支店や営業所を持つ。現在、東京支店を任されているのが、創業者の曾孫である岡田氏だ。

 岡田氏は、東京支店の営業業務に以前から問題を感じていた。しかもこれは、同社が持つ伝統と強みの表裏をなすものであり、単に一支店に原因があるのではなく、全社を挙げて変革に取り組まなくてはならないほど根深い問題だった。

 話は、2011年夏にさかのぼる。筆者たちが行っているチームワークに関する取り組みに興味を持ってもらい、最初に開かれた意見交換会の冒頭、岡田氏が切り出した。

 「私たちの会社で一番大きな売り上げを占めているのは、豆の卸、販売です。営業担当はさまざまな商材を扱っていますが、実際に豆を買い付けているのは、大阪本社の仕入れ部です。お客さまのところに行き、弊社が仕入れた豆を販売するには、豆をいくらで販売するのか、どのくらいの量が在庫としてあるのかといった情報が必要です。

 しかし、現状は、それらの情報を得るために各営業担当が仕入れ部に直接電話をして逐一確認し、各自で判断して営業活動をしています。各自が得た情報はほかの社員と共有されることもなく、同じ質問が仕入部に投げられることもあります。この状態から抜け出し、効率良く、強い営業ができるチームづくりをしたい」

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