真のプロフェッショナルとは:ビジネスマンの悩み相談室(1/2 ページ)
「部下のモチベーションが低い」という声を聞くが、それではあなた自身のモチベーションはどうだろう。高いといえるだろうか。
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新年度がスタートし、数週間が経った。新しい役職や部署でスタートしている人も多いのではないだろうか。最近部下のモチベーションが低い、そんな話をよく耳にする。今回はそのことについて話す。
<事例>
ある食品メーカーの営業部のH係長は部下のモチベーションが低いことで頭を悩ませていた。毎週行われている定例会議で相変わらず部下は元気がない。
H係長:みんな元気がなし、最近業績が上がっていない。何かお客さまのところをまわっていて気付いたことはあるかな。
S君:最近○○企業に行ってきたのですが、丸の内に新しい店舗を出す予定があり、弊社の商品を扱ってもらえるようにプッシュしているのですが、なかなかむずかしいんです。
H係長:そんなのは、何度も通いつめて取ってこないとだめだろう。気合いが足りないよ!!
O君:○○社のI社長がもっと価格を下げてほしい、と執拗に言ってくるのです。
H係長:I社長はいつも押しが強いからな。ただ価格は最大限下げているよ。これ以上は難しいから、別の方法で交渉してこい。
Mさん:ライバル社の一つが弊社と非常に似た商品を出していて、差別化してお客さまに説明するのがとても難しいのです。
H係長:そんなのうちの商品がいいに決まっている。自分で調べて、明確にすべきだろう。
H係長は腕組みをしたまま、ため息をついている。H係長にとりつくしまもなく、一同しゅんとしてしまい、それ以上誰も発言しようとしなかった。
部下のモチベーションを下げているのは誰か
「部下のモチベーションが低い」という人が多いが、それでは、あなた自身のモチベーションはどうだろうか。高いといえるだろうか。
あなたのモチベーションが低ければ部下のモチベーションも低い、あなたのモチベーションが高ければ部下のモチベーションも高い。「鏡の法則」である。
部下のモチベーションがなぜ(Why)低いのかを考える暇があるなら、どうしたら(How)部下のモチベーションを上げられるかに焦点を絞るる必要がある。部下のやる気や自発性をどうあげられるか、真剣に考えるべきである。
H係長の場合、会議の場でいろいろと発言する部下に対して、腕組みをしたまま頭ごなしに否定し、やる気をそいでしまっている。それでは部下のモチベーションは下がるばかりで、問題があっても発言しなくなってしまうだろう。
しかめっ面をしてしんとしている上司の下では、モチベーションの高い部下は育たないし、業績も伸びないはずである。わいわいがやがや話し合い、議論し合える土壌があってこそ、働く人のモチベーションが上がり、やる気も起きてくる。
次の3つのことを実践してほしい。
(1)部下がせっかく発言をしたならば、まずはねぎらうこと。上司から見たら不十分に思えても部下なりに考えて行動しているのである。それから「どう解決できるだろうか」と歩み寄り、一緒に考え、自分が知っていることがあればアドバイスをすることである。新規出店の際に商品を扱ってほしいという課題を持っているS君であれば、「これから店舗を構える大切なお客さまだから、わたしも一緒に行って話を聞こう」と提案してもいいだろう。
(2)議論して決まったことは即実行することが大切である。せっかく話し合ってこれをしようと決めても、行動しなければ意味がない。即行動して、何か問題があればやりながら修正すればいい。行動をしなれば競合他社が同じことを考えて、先んじられてしまう可能性が多いにある。即行動が基本である。
(3)部下のモチベーションを上げるうえでもう一つ大切なことは、行動して成果が出たらすぐに褒めてあげること。「できたではないか」「よくやった」と言おう。それだけで部下のモチベーションはグーンとアップする。一方で、普段の行動を褒めることも重要である。「この企画はよかったね」と意識しながら声をかけ、みんなの前で褒めることでやる気が起きたりするのである。
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