“悩み”が作るクリエイティブな時間:人生はサーフィンのように(1/2 ページ)
悩みは自分とトコトン向き合うチャンス――悩みをきっかけに「自分の本当にやりたいこと」を見つけた竹内さんが、悩みとの向き合い方をにこやかに伝授します。
先日、就職活動をしている学生の皆さんが、悩みを書き込んでいる掲示板を見ました。「このまま普通に会社に入るべきか」「やりたいことがない」「自分らしさが分からない」「就職するまえに海外に留学すべきか否か」など、さまざまな悩みが書き込まれています。
書き込こまれた不安や悩みには、社会人の皆さんが答えます。「学生のころは進路に悩みますね」「普通に会社に入るのは悪いことじゃない」「今しかできないことをやるべきだ」「海外に行くことが目的になっていない?」など、悩みに寄り添ったり、アドバイスしたり、問い掛けたりしています。
中には、「会社はコロコロ変えられるものではないから会社選びは慎重に」という意見に対し、「若いうちは何度でもやり直しができるから大丈夫」という真逆の意見があったり、「やりたいことをやるべきだ」というアドバイスに対し、「やりたいことをやりたいけれど、やりたいことが分からない」というさらなる悩みが書き込まれたりしています。
そこはもう「悩みのるつぼ」です。
学生の皆さんに限らず、将来のことを思うとさまざまな不安や悩みを抱えることがあるでしょう。そこで今回は「情報」と「悩み」に焦点を当てて、「外部の情報によって生じる悩みとの向き合い方」についてお話します。
情報があるからこそ抱える、新たな迷いや悩み
私が就職したときも、現代の学生の皆さんと同じように悩みました。けれども、今と昔では少し悩み方が変わっているように感じます。
私が就職した約20年前はまだインターネットは無く、情報といえば、親や先生の声、同級生の考え、テレビや本、企業のチラシやパンフレットなどが中心でした。遠く離れた就職先の詳しい情報を持っている人はおらず、当時は、「分からない」ことが最大の不安や悩みだったように思います。
今は、インターネットを使って自由に情報に触れることができます。情報を与えられるだけではなく、必要な情報を自ら検索して調べることもできます。口コミ情報を調べれば、その会社の中の雰囲気もつかめます。
インターネットが無かった時代と比較すると、さまざまな情報のおかげでたくさんの選択肢が得られるようになりました。一方、情報がたくさんあるがために、自分が置かれている環境と周囲を比較し、新しい迷いや悩みを抱えるようになったとも感じます。
例えばソーシャルメディアでは、現在活躍している方々の生の情報が目に飛び込みます。それらを見ると、「あの人は○○の経験を積んだから××になれたんだ。すごいなぁ」「なるほど、私と同じぐらいのときには人生のことを真剣に考えていたんだ。自分もそう考えなきゃ」「やりたいことを仕事にするって、いいなぁ。毎日楽しそうだなぁ」などと思うでしょう。
しかし改めて見つめ直すと、やりたいことが明確にあるわけでもないし、自分らしさも分からない自分がいます。「やりたいことって、どうやって見つけたらいいのだろう?」「自分らしさって、どうやったら分かるのだろう?」「やりたいことも自分らしさもない私って、このままでいいのかなぁ」……。
それはレストランでメニューを選ぶときに似ているかもしれません。メニューが少なければさほど迷うこともありませんが、たくさんのメニューがあると、何を選ぶか迷ってしまいます。他の人が食べているメニューを見れば、自分が選ぼうとしているメニューと比較して、さらに悩むことになります。
状況を知るうえで外部の情報はとても大切ですが、多過ぎる情報は、かえって迷いや悩みを生んでしまうのではないでしょうか。
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