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自分自身のキャリアを客観的に把握――キャリアを生かして問題にチャレンジITmedia エグゼクティブ勉強会リポート(1/2 ページ)

いま市場で必要とされているのはどのような人材なのか。技術だけでなく、管理能力や人柄などを総合的に判断されるという。あなたは求められる人材だろうか。

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 アイティメディアが開催している「ITmediaエグゼクティブ勉強会」に、テクノブレーン 代表取締役社長である能勢賢太郎氏が登場。「常に求められる人材とは――マーケットから必要とされる人材になるためには」をテーマに、いま企業における人材スカウトの現状や、市場で必要とされているのはどのような人材なのかについて講演した。

平成不況のど真ん中でテクノブレーンを設立


能勢賢太郎氏

 人材スカウト会社であるテクノブレーン。設立の経緯を能勢氏は、次のように振り返る。「大学を卒業し証券会社に就職して4年半勤めた後、1988年にヘッドハンティング会社に転職。金融、不動産を中心にヘッドハンティングを行っていたが、1992年に独立してテクノブレーンを設立した」

 「当初は平成不況のど真ん中でほとんど求人もなく、さまざまな仕事をしていた。その当時、印象に残っているのは、タクシーの運転手をハイヤーの会社に紹介する仕事だった。3年を経て会社も軌道にのったことから、人材紹介を中心として人材に関する企業の悩みに応える取り組みを開始し、今に至っている」(能勢氏)。

 テクノブレーンの古くからの顧客の1つにサムスン電子がある。「サムスン電子は、いまでこそ世界的な大企業だが、当時はまだ三星電子という社名で聞いたことのない韓国の会社というイメージだった」と能勢氏。そのサムスン電子の依頼は、「世界に通用する技術者を育成するので、日本の技術者を紹介してほしい」というものだった。

 能勢氏は、「いろいろな評判はあるかもしれないが、人材紹介というビジネスにおいては、サムスン電子は非常に印象深い会社のひとつだった」と話している。

技術的に優秀でも転職できない現実

 テクノブレーンでは、業界が再編成されることもあり、3年前より半導体業界に注目していた。そこで、ある日本の大手電機メーカーに人材を集めるなら今であるという提案をした。能勢氏は、「80人紹介して1人だけ採用されるという厳しい結果だった。技術だけでなく、管理能力や人柄などを総合的に判断の結果、残念ながら1人だけ採用されるという厳しい状況だった。」と話す。

 「大変な仕事だったが、チャレンジしがいがあった。この仕事を通じて感じたのは、半導体の技術者一人ひとりは非常に優秀であり、学生の頃は学年でも1番、2番という優秀な人たちがメーカーに入社して数十年経った今、残念ながら売れないキャリアになっているという現実だった」(能勢氏)。

 現在、企業が必要とする人は、本当に一握りである。能勢氏は、「こうした状況を変えなければならないと考えた。そこで、優秀な技術者必要としている会社はないのかと走り回った」と話す。韓国や中国、台湾など、海外の企業も調べてみたが、日本の会社とほぼ同レベルもしくは日本以上のレベルが求められる企業もあった。

 「こうした現実を認識しておいてほしい。どんなに技術的に優秀な人であっても転職できない状況であり、企業の中でキャリア漂流者が増えることも予測されている。もちろん日本企業で人材を求めている企業もあるが、危機感を持ってほしいということを伝えていきたい」(能勢氏)

 次に1つのグラフを紹介。日経平均株価と人材採用の書類合格率のグラフを重ねたものだが、ほぼ同じ形のグラフになるという。例えばITバブルの崩壊で株価が下がれば書類合格率も減り、いざなぎ景気超えで株価が上がれば書類合格率も増えている。いざなぎ景気超えのときは第2新卒ブームで、多くの人材スカウト会社が業績を伸ばしている。

 能勢氏は、「現在はアベノミクスによりだいぶ景気も回復し、株価も上昇してきたが、不思議なことに書類合格率が上がってこない。むしろ下がっている。求人も、案件数も増えているのだが、企業側が採用には慎重になっているのが実情である。景気は回復しても、紹介すれば採用されるわけではない、厳しい状況は変わらない」と話す。

 何がいけないのかを人事担当者に聞くと、「何となく合わない」「人柄がね……」という答えが多いという。能勢氏は、「企業の中で、必要な人材が明確化されていないのではないか。世の中の動きが速いので、人材は必要だが、現場サイドと経営サイドの意見が違っており、人を採用できていないのではないかと分析している」と言う。

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