物事の本質を見極めれば、グローバルに成功できる:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)
世界のエリートと呼ばれる人たちは、天才的な頭脳を持っているわけではない。本質を見極める力の養い方を知っていて、それを実践するために日々努力を重ねている。大局的な視点、俯瞰的な視点を持つためには?
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物事の本質を見極めるためには、正しい見方や考え方を身に付けなければなりません。ある物事について見定める場合には、決して偏った考えでは見ることなく、できるかぎりさまざまな立場や視点から眺めるようにすることが肝要です。いわゆる「大局的な視点」あるいは「俯瞰的な視点」が必要となるのです。
そのためには何が求められるのかというと、すでに世の中で知られている常識や他人の考え方に染まらずに、「自分の頭でしっかりと考える」ということです。見かけ上もっともらしく見える常識的な考えや他人の見解を、そのまま自分の考えに取り入れるようなことをしていては、自分の考えが狭く浅いものになってしまいます。
何事も自分の頭で考えることができない人は、いくら英語が堪能であっても、いくらコミュニケーションに長けていても、経済のグローバル化が進むビジネスの世界では、本当の意味で活躍することなどできません。というのも、すでにビジネスの世界では、「大局的な視点」や「俯瞰的な視点」を持っている人間がいちばん重宝される時代が訪れているからです。
経済のグローバル化や情報技術の進歩を背景に、ビジネスのサイクルが非常に短く、かつ早くなってきています。数年前には業績が絶好調だった企業が、今や強力なライバル企業の出現で苦しんでいる。数年前にはもの凄い利益が出たビジネスモデルが、もはや赤字に陥っている。そんな状況が当たり前のようになってきています。
ひと昔前であれば、新しいビジネスモデルを生みだしたら、その企業は30年安泰であると言われました。ところが今では、そのビジネスモデルが10年もてばいいほうで、下手をすれば5年も経たないうちに、かつては斬新だったビジネスモデルがあっという間に陳腐化してしまいます。
こうしたスピードが速いグローバル化の時代を生き抜くためには、企業のトップは幅広い知識を持って広い視野から経営上の判断をしなければなりませんし、一歩先のビジネスの流れを常に予測していかなければなりません。もちろん、トップを支えるビジネスエリートたちにも同じような能力が求められるのは言うまでもありません。
業績を上げている企業のトップやエリートたちと話をすると分かるのは、経営学や経済学に精通しているだけではないということです。彼らの多くは日々、学問のジャンルに関係なくいろいろな知識を吸収しようと努力したうえで、自分の頭で考えるという作業の繰り返しを行っているのです。
彼らがそうする理由は、物事の判断をする際に専門的な知識にのみ頼ろうとすると、判断を誤ってしまう事例を自ら経験したことがあったり、そのような事例をたくさん学んだりしているからなのでしょう。あるいは、さまざまな知識を吸収し続けながら、自分で考えて結論を導くという作業をせずに、俯瞰的かつ大局的な物の見方は養われないという現実を分かっているのでしょう。
世界のエリートと呼ばれる人たちは、決して天才的な頭脳を持っているわけではありません。彼らは本質を見極める力を養う方法を知っていて、その方法を実践するために日々の努力を重ねてきているにすぎないのです。それは言い方を換えれば、貪欲に学び続ける姿勢さえ持っていれば、ごく普通の人たちでもグローバルに活躍することが可能になってきていると言えるでしょう。
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