物事の本質を見極めれば、グローバルに成功できる:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
世界のエリートと呼ばれる人たちは、天才的な頭脳を持っているわけではない。本質を見極める力の養い方を知っていて、それを実践するために日々努力を重ねている。大局的な視点、俯瞰的な視点を持つためには?
それでは、大局的な視点、俯瞰的な視点を持つためには、具体的にはどういったことをすればいいのでしょうか。実のところ、その答えは、「学問のジャンルにとらわれず、さまざまな知識を学び続ける」ということなのです。
貪欲になってさまざまな知識を吸収していけば、意識する意識しないにかかわらず、自然と自らの視野が広がっていくことが実感できるようになります。そのうえで、物事の判断をする際に、自らの頭で考えてベストだと考えられる結論を導き出していくのです。
その行程の繰り返しが、俯瞰的、大局的視点を養うと同時に、本質を見抜く洞察力を育んでくれるはずです。言い換えれば、貪欲に学び続ける、愚直に考え続けるという姿勢がとても大切なのです。
物事の本質を探るには、ある特定の分野の知識だけではなく、さまざまな分野の知識が求められます。
人文科学系の学問では哲学、宗教学、論理学、歴史学、地理学、人類学、言語学、心理学など、社会科学系の学問では政治学、経済学、経営学、法学、統計学など、自然科学系の学問では物理学、化学、生物学、数学、天文学など、可能な限り幅広い知識を持っていたほうが好ましいでしょう。
ジャンルにとらわれない広範な知識は、そのままその人の視野の広さに直結します。視野が広ければ広いほど、特定の分野の知識だけではとても導き出せない判断ができるようになるものです。他の分野の知識や考え方を取り入れることによって、もっと合理的に、一段と論理的に、いっそう体系的に判断できるようになるからです。
私は経営コンサルタントとして企業に対してアドバイスをしているのですが、経営コンサルタントという仕事は学問の広いジャンルでいえば、社会科学系の仕事に該当すると世間では捉えられています。それゆえに、社会科学系の学問の知識、とりわけ経営学と経済学の知識があれば、満足いく仕事ができると考えられる傾向があります。
「今は設備投資をしていい時期なのか」
「新規事業を始めたいが、どの分野がいいのか」
「海外展開をどのように進めていけばいいのか」
「広告PRはどのようにしていけばいいのか」
「余剰資金が豊富にあるが、どのように活用していけばいいのか」
「社員教育をどのようにすればいいのか」
確かに、これらのさまざまな相談内容を一見すると、社会科学系の学問知識である経営学や経済学に精通していれば大方は問題ないと、多くの人々が思うかもしれません。
ところが、私が実際にアドバイスをする場合は、社会科学系の学問の発想をする時よりも、人文科学系や自然科学系の学問の発想をしている時のほうがずっと多いのです。物事の本質を見極めながら、高いレベルのアドバイスをしようと心がけると、どうしてもそのような発想に行き着いてしまうわけです。
ですから、物事の本質を見定める洞察力を磨きあげるには、ある特定の分野の学問知識を学ぶだけでなく、さまざまな分野の学問知識を雑食し続けていくことをお勧めしたいと思います。
ジャンルにとらわれずに学問の雑食を続けていくと、自らの視野が広がっていくことが実感できるようになります。そして、自らの視野が広がっていけば広がっていくほど、以前の自分ではとても導き出せなかったような発想やアイデアがあたまの中に浮かんでくるようになるのです。
著者プロフィール:中原 圭介
経営コンサルタント/経済アナリスト
経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ」の経営コンサルタント・経済アナリストとして活動。大企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。
経済や経営だけではなく、歴史や心理学、哲学など、幅広い視点から多面的に経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
『2025 年の世界予測―歴史から読み解く日本人の未来』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)、『インフレどころか世界はこれからデフレで蘇る』(PHP 新書)、『トップリーダーが学んでいる「5 年後の世界経済」入門』(日本実業出版社)、『日本人は「経済学」にだまされるな!』(中経出版)など著書多数。
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