検索
連載

チームシップが企業に与える影響とはビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(1/2 ページ)

組織の問題を客観的に見て、ある仮説をテストしたところ予想以上にうまくいった。チームに学習をもたらし、チーム全体のパフォーマンスを高めるには?

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 この記事は「経営者JP」の企画協力を受けております。


ビジネス書の著者たちによる連載コーナー「ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術」のバックナンバーへ。


 ビジネスにかかわっていると誰もが何らかの結果を求められます。ところがうまくいきそうもないと思い込んだり、やったことがないことだと不安になり、まだ終わってもいないのにくよくよと悩んでしまいます。このような経験は誰もがあることでしょう。人だから仕方がないことと言ってしまえばそれまでなのですが、ビジネスには納期がありますから、悩んでいるだけでは済まされません。

リーダーの深い悩み


今いる仲間で「最強のチーム」をつくる 自ら成長する組織に変わる「チームシップ」の高め方

 ましてや、すべてのビジネスは最終的にチームで結果を出すことになりますから、他のメンバーに影響を与えることを想像するとさらに深い悩みへと迷い込んでしまいます。もちろん、こんなメンバーばかりでチームが構成されているわけではありませんが、それでもチームリーダーは、チームをマネジメントし、時には自らがプレイヤーとなり、チームとしての結果に責任を持たなくてはなりません。

 そこでリーダーは、メンバーを動かすために膨大なエネルギーを使います。しかし、そう簡単に思い通りにならないのもまた人です。どんなに優秀なリーダーでも1人でできることは限られています。それが分かっているからこそ、リーダーはどうにかしてメンバーを動かし、求められる以上の結果を残そうと奮闘しているわけです。

 私自身もいくつかの企業を経営してきましたが、最も苦労したことが「人」の問題です。人には感情があり、日々変化をします。マーケティングであれば、テストがうまくいかなければやり直しができますが、人の場合はそういうわけにもいきません。企業のリーダーたちが苦労しているのは「人」の問題なのです。必死にチームをまとめようとするのですが、なかなかうまくいかないので、メンバーとは違う種類のストレスを抱えているのです。

「いい人がいない」

 私の経験をメソッドとして伝えるにあたり、なぜチームは機能しないのかについて、考えてみましょう。多くのリーダーが課題としているのが「いい人がいない」ということです。確かに優秀な人材が揃えば、いいチームができあがり、簡単に結果が出そうです。だからこそ、どの企業も採用に力を入れ、できれば、教育する必要のないスタッフを採用したいと考えがちです。実際、ベンチャーや中小企業では、「いい人」の確保が難しく、常に経営者の課題になっています。

 人の問題の根本的な解決方法は、いい人を採用することに尽きます。だからといって、今いる人を解雇するわけにはいきませんし、優秀な人を確保できる企業は限られています。ましてや、優秀だと判断して採用したスタッフが、思ったような働きぶりではなく、成果を出せないことは珍しくありません。では、どうすれば「今いる人」が能力を発揮できるようになるのか? これが、私自身も経営者として長年悩んできた問題です。

 業績が上がれば当然忙しくなります。忙しくなれば負担が増えるので不満が出ます。不満が出れば社内の雰囲気が悪くなり、お客さまへ提供する商品やサービスの品質が下がります。このような循環は、どの組織でも起きることであり、優秀なはずの人もこの循環に巻き込まれることでチームとしての機能が低下してしまうのです。

仮説はテストする

 コンサルタントになった私には、組織の問題が客観的に見えるようになりました。そこで、いままで経営者として取り組んできた解決策をもとにある仮説をテストすることにしました。ある仮説とは、「人を操作するのではなく、自発的に動いてもらう話し合いのしくみ」です。テストは予想以上にうまくいきました。

 例えば、以下のような結果がでました。

  • 朝の挨拶すらしなかったスタッフが笑顔でコミュニケーションを取れるようになった。
  • 減速するばかりの売上が回復し、2年ぶりに昨対比の売上が100%を超えた。
  • 複数の学校の先生が集まる研究会では、所属する学校の枠組みを越えた新しい教育方法の取り組みが始まった。

 本書のテーマでもある「チームシップ」は、チームに学習をもたらし、チーム全体のパフォーマンスを高めるのだという確信が高まりました。このメソッドを体系化したものが、チームシップディスカバリーキャンプ(TDC)と名付けた話し合いの手法なのです。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る