チームシップが企業に与える影響とは:ビジネス著者が語る、リーダーの仕事術(2/2 ページ)
組織の問題を客観的に見て、ある仮説をテストしたところ予想以上にうまくいった。チームに学習をもたらし、チーム全体のパフォーマンスを高めるには?
戦略か人か
すべての企業には戦略があります。結果を出すには、優れた戦略があればいいのではないか? 確かに戦略は重要です。ただし、その戦略を実行する人はさらに重要です。戦略を理解できるスタッフがいなければ適切な実行ができないので、結果が出るはずはありません。例えば、一流の料理人は、普通の家庭の冷蔵庫にあるものでもおいしい料理を作ることができます。そこにある素材の良さを最大限に引き出す知恵と技術を持っていることが真のプロです。
戦略を理解できないスタッフに戦略を実行させようとするリーダーがいたら、それこそが解決すべき優先順位の高い課題ではないでしょうか。まずは、今いる人たちでベストなチームを作る方法を考える。そこにいる人に焦点を当てて、自発的に動ける戦略こそが優れた戦略なのです。しかし、リーダーであれば、それを実現するのがどれほど難しいかがよく分かると思います。それを実現する方法が、本書で紹介するチームシップディスカバリーキャンプ(TDC)なのです。
「チームシップ」が高まれば、リーダーが指示をしなくてもメンバーは自発的に動きます。
いい戦略とは?
では、具体的には、どうすればいいのでしょう? それには、まず目標の設定をすることです。企業であれば、当たり前のことなのですが、その設定方法が大切なのです。その方法とは、「目標」をメンバー自身で決めるということです。人には共通の特性がありますが、そのひとつに「自ら決めた目標は、自ら守ろうとする」というものがあり、反対に「与えられた目標には抵抗する」ものでもあります。目標をリーダーが与えるのではなく、メンバーが自分たちで設定することで、メンバー自身が守ろうとする、つまり自発性が発揮されるわけです。それに続くメソッドは本書で公開していますので最後に戦略と人の関係について、触れながらまとめたいと思います。
- 優れた戦略があるが人が動かない企業
- 戦略はないが人が質の高い仕事を大量に実行する企業
さて、結果が出るのはどちらの企業でしょう?
優れた戦略があって、その戦略に合わせてスタッフが質高く、大量に働く企業が最も結果が出るということは分かります。しかし、戦略はなくてもとにかく行動の量を増やすことで結果を出している企業があるのも事実です。ですから、明確な答えは分からないとしか言えません。しかし、問題は優れた戦略があってもなぜ人が動かないのか? なのです。その答えは、その企業に合った戦略ではないからです。高い能力を要求される戦略を立案しても、スタッフの能力がそのレベルになければ実行することはできません。ですから、その企業に合った戦略こそがいい戦略だと言えます。企業には「今いる人」に焦点を絞った戦略が必要なのです。
著者プロフィール:池本克之
株式会社パジャ・ポス代表取締役 NPO法人AreYouHappy?JAPAN代表理事 組織学習経営コンサルタント
1965年神戸市生まれ。リース会社、生命保険会社勤務などを経て、ドクターシーラボ、ネットプライスの社長を歴任。両社の上場や成長に多大な貢献をし「成長請負人」と呼ばれる。現在は組織学習経営コンサルタントとして、大企業から創業間もないベンチャー企業に至るまで、継続的に成長する企業経営のアドバイスを行っている。
著書に『年商3億円を120億円にする仕事術』(大和書房)、『プロフェッショナル・リーダーの人を見極め、動かし、育てる法則』(ダイヤモンド社)などがある。
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